明日、ハレルヤｰinarｰ (ページ42)

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慧side

山田「うーん、心の病気になっちゃったから…かな…」

大貴「心の…病気ぃ…？」

山田「そう。だから今はちょっとお休み。」

これでも中学生なんだけど、大ちゃん小柄だし、今すごく幼くなってるからか、山田さんは5歳児の相手をしているみたいに喋る。

大貴「そっかぁ…でも、俺がいるからだいじょうぶ！！」

大ちゃんは山田さんの手をぎゅっと握った。

驚いたような、少し泣きそうな顔をする山田さん。

山田「ふふっ…ありがとう。君たち名前はなんていうの？」

大貴「ありおかだいき！！」

完全に平仮名喋りになってきた大ちゃん。

慧「伊野尾慧…」

山田「大貴くんと慧くんか。よろしくね。」

ふわりと微笑むその瞳は儚げに揺れ、貼り付けた笑顔に見えた。

慧「…っくしゅっ…」

風が吹き抜け、その寒さからか、小さなくしゃみをひとつこぼした。

山田「今日ちょっと寒いよね。俺の上着、着てな？」

薄着の俺に、大きめの上着を貸してくれた山田さん。

慧「え、悪いよ…」

山田「いいのいいの。体調崩すの良くないし。」

俺の体にはまだまだぶかぶかなそれは、すごく暖かくて、冷えた体をじわじわと温めた。

大貴「大ちゃんもぉ！」

山田さんの上着を羽織った俺を羨ましそうに見つめ、俺に飛び込んでくるかと思いきや…

大貴「ケホッケホッ…ヒュッ…」

変な音を立てて呼吸が乱れたのが分かった。

その場に倒れ込んだ大ちゃんは、頬を赤く染めて、苦しそうに咳を繰り返した。

慧「大ちゃん！光先生のとこ、行かないと…」

大ちゃんを抱き抱えようとしたけど、体力的にも身体的にも、今の俺には不可能だった。

山田「行こう」

苦しそうな大ちゃんを優しくお姫様抱っこしてくれた山田さん。

慧「俺、走れないの…だから急ぎたいけど…歩いて行かせて…」

大ちゃんのことは大切で、本当なら走って行って今すぐでも光先生に診てもらいたいけど。

自分も発作起こしたら、もっと迷惑がかかることは分かっていた。

山田「分かった。ゆっくりでいいよ。」

時折大ちゃんに声をかけながら俺のペースに合わせて歩く山田さんは、俺の瞳にヒーローとして映し出された。