07. いつもの私に ページ8
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「で、で！？それでなんて言われたの！？」
『みんな心配しちゃうから気をつけてねって。』
午前の授業が終わり、紗奈と2人でお昼ご飯を食べていた。紗奈はどうやら、ホームルーム後に私が吉野くんと話していたのを見ていたらしい。その時のことを詳しく聞かせて欲しいという事で、教室ではなく人があまり通らない中庭のベンチまで移動した。
「みんなって…一番心配してたのはアイツなんでしょ？」
『一番かどうかは分かんないけど…。でも、川村くんは、吉野くんがあの後も心配してたよ、って言ってた。』
「Aはそれを聞いてどう思った？」
紗奈は箸の動きを止め、こちらを見てニヤリと口角を上げながら私に質問する。聞かなくても知ってるくせに。
「ふふーん、これからは吉野にちゃーんとアピールしていかないとね！」
『吉野くんのことは好きじゃないよ。』
「は！？」
私の知らない未来を勝手に想像してうっとりとしていた紗奈は、私の発言に思い切り目を見開いて口を尖らせた。私が冗談ではなく真顔で言い放ったせいか、なんで？という言葉を言いかけて飲み込んでいる。
『吉野くんが心配してくれたのはとても嬉しかったけど、それは偶然だし、他意もないだろうし。たぶん、私のこの気持ちも恋心じゃない。優しくされて舞い上がっちゃってるだけだよ。』
「…それ、気持ち誤魔化してるだけじゃないの？」
紗奈の言葉に、箸を動かす指が止まる。
『そういうわけじゃないよ。…でも、紗奈は知ってるでしょ、私の過去の…。』
そこまで言いかけて紗奈をチラリと見る。彼女は真剣な顔で私の目を見ていた。
「うん…Aがそう言うのも分かる。でもさ、好きな気持ちって抑えられないじゃない？Aが傷つくのはもちろん嫌だけど、でも、もし二人が結ばれるんだったら後押ししたいもん。怖気付いてタイミング逃して、両思いだったのに振られてた子も見たことあるし…。」
『ありがとう、紗奈。でも、私はもういいかな。』
アピールとか、駆け引きとか、タイミングとか。私はそれをもう楽しむことが出来ないのだ。
憧れと恋心の狭間くらいの、キラキラして甘酸っぱい気持ちを抱いている時がいい。
『今まで通り、彼を見てカッコイイねって紗奈と話せたら、それでいいよ。』
期待しない。
望まない。
それでいいんだ。
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08. 助けてくれる君、再び→←06. 壱馬と北人のやり取り ◇北人side
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さくら(プロフ) - 亜美さん» コメントありがとうございます！続きを楽しみに思って頂けて嬉しいです！頑張って引き続き更新していきたいと思います！ (2021年4月3日 14時) (
レス) id: 7c5a63d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 凄い続きが気に気になります (2021年4月3日 12時) (レス) id: 3c756a53fc (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - さくらさん» 別の人だったんですね、すみません。 (2021年4月3日 11時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - aina0826さん» ご指摘ありがとうございます。慎くんとは別の人物を想定して名前を付けたのですが、漢字が似ているので分かりにくかったですよね…修正しておきます、すみませんでしたm(._.)m (2021年4月2日 23時) (レス) id: 89a1d5f00b (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - 慎くんは長谷川慎くんのことだと思うんですが、漢字が間違えていると思います。嫌な思いをなさったらごめんなさい。 (2021年4月2日 23時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2021年3月20日 23時
