47. 目眩が呼ぶもの ページ48
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あれから数日が経った。
現在は二つのクラス合同での体育の時間。
Aは授業内容を説明する教師の声など聞こえておらず、ちらちらと男子の様子を伺っていた。
(北人くん、ジャージ姿も当たり前に素敵…！)
半袖のジャージから伸びる長い腕は、男子にしては細い方なんだろう。だがその掌は大きく骨張っており、自分とは違う性の差を嫌でも感じさせる。
「ジャージでも素敵〜！って思ってるでしょ。」
『さすが紗奈！そんなあなたには10ポイント差し上げましょう！』
「テンション高…！吉野に興奮しすぎて倒れないでね？」
『そおんなバカな人いないよ〜！紗奈ってば心配しすぎ。』
Aは大きく口を開けて紗奈の言葉を笑い飛ばし、張り切った様子でウォーミングアップのランニングに取り組んだ。紗奈はいつになくやる気のAの姿を苦笑いで眺めていた。
─────
『……バカいたわ。』
Aは白い天井を見つめながら先程の会話を思い返す。
まさか紗奈の言ったことが本当になるなんて、数十分前の自分に教えてあげたかった。
授業前のウォーミングアップとして、だだっ広いグラウンドを数周走らなければならないのだが、文化部で体力もあまりない私に取ってはなかなかキツイものだった。
だが、自分たち女子を追い越して颯爽と走っていく男子達、の中でも特に北人くんの走る姿に感化され、珍しくやる気が出たのである。あろうことか初っ端から走るスピードを上げ、走り終わった頃には授業どころではない程に気持ちが悪くなった。
(私のアホ〜…。おぇ、気持ち悪い。)
クラスメイトに心配されながら保健室に来たものの先生は不在で。戻るのもまた目立ちそうだったから、勝手にベッドを拝借する事にした。
(こんな時、少女漫画なら好きな男の子が保健室まで連れて来てくれるんだよね。)
この後に及んでも呑気な考えしかできない自分に呆れてしまう。
静かなこの空間には、私の小さなため息と、私の名前を呼ぶ声しか聞こえない。
えっ？
待って呼ばれてる！
咄嗟にはい、と返事をすると「開けてもいい？」と小さな声が聞こえて来る。
この声の主が保健室の先生ではないことに驚き、そして彼である事に胸が高鳴った。
『うん、開けても良いよ。』
私の声に応えるように、恐る恐る仕切りのカーテンが開かれるのが分かる。
そこから覗くのは風に靡かれたままのふわふわな髪の毛と、吸い込まれるような大きな瞳だった。
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さくら(プロフ) - 亜美さん» コメントありがとうございます！続きを楽しみに思って頂けて嬉しいです！頑張って引き続き更新していきたいと思います！ (2021年4月3日 14時) (
レス) id: 7c5a63d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 凄い続きが気に気になります (2021年4月3日 12時) (レス) id: 3c756a53fc (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - さくらさん» 別の人だったんですね、すみません。 (2021年4月3日 11時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - aina0826さん» ご指摘ありがとうございます。慎くんとは別の人物を想定して名前を付けたのですが、漢字が似ているので分かりにくかったですよね…修正しておきます、すみませんでしたm(._.)m (2021年4月2日 23時) (レス) id: 89a1d5f00b (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - 慎くんは長谷川慎くんのことだと思うんですが、漢字が間違えていると思います。嫌な思いをなさったらごめんなさい。 (2021年4月2日 23時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2021年3月20日 23時
