41. 苦いコーヒーが染み渡る ページ42
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休日、私は気晴らしに一人で買い物に来ていた。
例の日向の言葉に心が掻き乱され、けれどこんなことを紗奈に相談できる訳がなくて。頭をクリアにして冷静に判断するためにも、気分転換が必要だと思ったのだ。
何を買うわけでもなく何となくショッピングモールをぶらりと歩いていると、見覚えのある人物が前から歩いてきた。私が目を見開くと同時に向こうも気付き、互いに立ち止まる。
『こんにちは…。』
「ど、どうも…。」
『…よ、良かったらお茶でも…？』
「あ、あぁ…そうだな。」
前から歩いて来たのは、川村くんだった。
正直、川村くんとはそんなに仲がいいとは言えない。だが、互いに顔を合わせてしまったことだし、私も一人でいるより誰かと話したかったから、思わずカフェに誘ってしまった。むしろ川村くんみたいに何も事情を知らない人と今は話したい。
落ち着いた雰囲気のカフェに入って飲み物を注文すると、川村くんの方から話しかけてくれた。
「今日は一人で買い物？」
『う、うん。ちょっと気分転換に。』
「…北人でも誘えば良かったのに。」
『えっ。』
どうして彼が北人くんの名前を出したのかは分からないが、その言い方に意図を感じてしまった私は自分の表情がさっと消えていくのが分かる。
(もしかして、日向だけじゃなくて川村くんにもバレてる…！？)
「あ、いや、冗談…。」
何も言えずに固まっている私を見て、彼は驚いた顔をする。
『え！？…あ、そ、そうだね〜！で、でも、北人くんは人気者で忙しいだろうから断られちゃうかもなー。』
ははは、と慌てて取り繕うものの、川村くんは苦笑いでこちらを見ていた。
そして、店員さんが持ってきてくれたコーヒーを一口啜りながら笑って言う。
「Aさんって嘘つけないタイプだね…。」
『おっしゃる通りで…。』
「まぁそれがAさんのいい所だよ。」
『気を使わせてごめん…。川村くんは優しいね…。』
私は彼に気付かれないようにため息をついた。
きっと今のことも北人くんに伝わってしまうのだろう。
ただでさえ北人くんを前にすると挙動不審になってしまうのに、ますます変なやつだと思われてしまう。
「そういえば、日向の方は大丈夫なの？」
おっと。川村くんはどこまで知っているのだろうか。私は飲んでいたジュースを吹き出しそうになる。
でも、一人では答えが出なかったしそれとなく話してみてもいいのかも。
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さくら(プロフ) - 亜美さん» コメントありがとうございます！続きを楽しみに思って頂けて嬉しいです！頑張って引き続き更新していきたいと思います！ (2021年4月3日 14時) (
レス) id: 7c5a63d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 凄い続きが気に気になります (2021年4月3日 12時) (レス) id: 3c756a53fc (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - さくらさん» 別の人だったんですね、すみません。 (2021年4月3日 11時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - aina0826さん» ご指摘ありがとうございます。慎くんとは別の人物を想定して名前を付けたのですが、漢字が似ているので分かりにくかったですよね…修正しておきます、すみませんでしたm(._.)m (2021年4月2日 23時) (レス) id: 89a1d5f00b (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - 慎くんは長谷川慎くんのことだと思うんですが、漢字が間違えていると思います。嫌な思いをなさったらごめんなさい。 (2021年4月2日 23時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2021年3月20日 23時
