35. 片思いと両思い ページ36
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「A〜！！良かったね！！」
紗奈との帰り道。
学校を出て、周りに生徒がいなくなった所で、紗奈は嬉しそうに私の背中を軽く叩く。
私は完全に浮かれていた。いや、好きな人と隣の席になれて浮かれない子が果たしているのだろうか。40人クラスのうちの、たった1つの席を引き当てることが出来たのだ。
『うぁ〜！でも北人くんと隣の席とか緊張する…！板書を取る時、指が震えちゃうよ…』
「いやいや、Aの大好きな青春が待ってるんだよ！」
紗奈の一言に、私の頭の中には空想の世界が広がっていた。女の子が一度は憧れるような漫画やドラマなどで描かれるような淡くて甘い青春が。
例えば、授業中に隣から小さく折ったメモが転がってきて、そこにドキッとするメッセージが書かれていたりとか。
こっそり目配せして2人でくすくす笑ったりとか。
居眠りしてる彼の横顔をこっそり盗み見たりとか。
『ふふ…かわいいな〜…』
「何に対して言ってんのか私には分からないけど…。そうよ、その妄想を現実にするの。いや、妄想よりももっと甘いものにするの！」
空想の世界に頬が緩み、ぽけっとしている私に紗奈は熱く語る。
『い、いやでもね、私、最近思うんだよ。片思いの時が一番楽しいかもーって…。』
「はー…。あの歴代の男たちが今のAを作り上げたのか…。あのね、片思いも確かにドキドキして楽しいのは分かるけど。両思いの方が何百倍も楽しいし、幸せなの。」
『そ、その言い方は語弊がある…。別に付き合ってた人達のせいじゃないもん。』
紗奈は深いため息をついて私を憐れむように背中を軽く叩いてくる。
告白しては振られ、付き合っても長くは続かない経験によって、両思いを掴み取ることから逃げていると思っているのだろう。
「好きな人が自分だけを見てるっていう幸せを直に実感できるのは堪んないよ。ちゃんとお互いのことを知って信じられれば、浮気の心配とかもないし、そこらの女に嫉妬なんてする必要がなくなるし。」
『……でも、北人くんに振られたら立ち直れないんだもん。』
「そのセリフ何回目？過去の男相手にもそう言ってたけど、今はけろっとしてるじゃん。」
『んもう。紗奈の意地悪…！ちょっとは私の気持ちを分かってよ…！』
私は図星であることを誤魔化すように紗奈をじろりと睨んだ。
その時ちょうど通りすがった定食屋で、北人が壱馬にご飯を奢っていたことを知るはずがなかった。
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さくら(プロフ) - 亜美さん» コメントありがとうございます！続きを楽しみに思って頂けて嬉しいです！頑張って引き続き更新していきたいと思います！ (2021年4月3日 14時) (
レス) id: 7c5a63d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 凄い続きが気に気になります (2021年4月3日 12時) (レス) id: 3c756a53fc (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - さくらさん» 別の人だったんですね、すみません。 (2021年4月3日 11時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - aina0826さん» ご指摘ありがとうございます。慎くんとは別の人物を想定して名前を付けたのですが、漢字が似ているので分かりにくかったですよね…修正しておきます、すみませんでしたm(._.)m (2021年4月2日 23時) (レス) id: 89a1d5f00b (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - 慎くんは長谷川慎くんのことだと思うんですが、漢字が間違えていると思います。嫌な思いをなさったらごめんなさい。 (2021年4月2日 23時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2021年3月20日 23時
