34. 作られた偶然 ページ35
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号令の後、新しい座席の位置へ自分の机と荷物を持っていく。
あぁ…まさか北人くんと隣の席になってしまうなんて。
(さっきとは違う意味でまた胸がドキドキしてるよ…。)
くじを引いて自分の新しい席を確認した後、私は気が気でなかった。隣の席や近くの席に誰が来るのか。はたまた北人くんはどこの席なのか。冷静を装っているつもりだったが、心臓だけはうるさく高鳴っていた。
次々にクラスメイトが自分の名前が書かれたマグネットを黒板に貼り付けていく。大半が貼り終わった後も、私の横の席は空白のままだ。
(お願い…隣じゃなくても近くの席がいい…！)
こんなに緊張する席替えは初めてだ。
どんどん空白が埋められていく座席表。気付けば残るのは私の隣の席と、教卓の前の席のみだった。
「おい川村と吉野ー…、喋ってないで早く貼ってくれないか。」
担任から急かされ、慌ててマグネットを張り出す二人。北人くんの大きな手のひらから離れたマグネットは、私の隣に貼られていた。
『………！！！！』
嘘、嘘、嘘！
私は緩んでしまう口元を抑えることに必死だった。唇を噛み締めて眉間に力を入れる。
(どうしよう、北人くんと隣の席だなんて…！)
明日から１ヶ月は彼の隣で授業を受けられるのだ。休憩時間のちょっとした間にも会話ができる距離。
これは、神様から与えられたチャンスなのかもしれない。怖気付いていないで、アタックしなさいって。
『北人くん、隣の席だね。』
私は新しい座席表を紙に書き写している彼に話しかける。北人くんは顔をパッと上げると、優しい笑顔で微笑んでくれた。
「近くの席になったの、何気に今回が初めてじゃない？」
『そうだよね。仲良くなってから隣の席になれるなんて、偶然だろうけどなんか面白いよね。』
「これぞ運命、みたいなね。」
そう言うと、鼻歌を歌いながらどんどん名前を書き写していく北人くん。
(えっ、えっ！？)
荷物を片付ける手が止まる。彼は冗談のつもりなのだろうが、私の心臓にはとても良くない。
『ふふ、北人くんにそんなこと言われたら嬉しくなっちゃうね。』
私だけこんなにドキドキしていることが悔しくて、少しだけ気のある言葉を言ってみた。と言っても、色んな女の子から好意を寄せられている彼からすれば、こんな言葉は聞きなれたものなんだろう。
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35. 片思いと両思い→←33. 運を引き寄せる男 ◇北人side
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さくら(プロフ) - 亜美さん» コメントありがとうございます！続きを楽しみに思って頂けて嬉しいです！頑張って引き続き更新していきたいと思います！ (2021年4月3日 14時) (
レス) id: 7c5a63d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 凄い続きが気に気になります (2021年4月3日 12時) (レス) id: 3c756a53fc (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - さくらさん» 別の人だったんですね、すみません。 (2021年4月3日 11時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - aina0826さん» ご指摘ありがとうございます。慎くんとは別の人物を想定して名前を付けたのですが、漢字が似ているので分かりにくかったですよね…修正しておきます、すみませんでしたm(._.)m (2021年4月2日 23時) (レス) id: 89a1d5f00b (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - 慎くんは長谷川慎くんのことだと思うんですが、漢字が間違えていると思います。嫌な思いをなさったらごめんなさい。 (2021年4月2日 23時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2021年3月20日 23時
