32. 運命の番号 ◇北人side ページ33
・
・
朝から衝撃的な場面に遭遇し、なかなか気が休まらない日だった。だが、やっと長い授業も終わろうとしており、北人は安心して息をつく。
帰りのホームルームの時間、清掃も帰る準備も済み、後は担任のありがたいお話が終われば生徒達は自由に放課後を過ごすことができる。
当の担任は教卓の前に立ち、いつもとは違い手に白い箱を持っていた。
(えっ、あれは…。)
北人は思わず周りの友達と顔を見合わせ喜んだ。
そう、学生にとっては、同じことの繰り返しである学校生活に少しの刺激を与えてくれる、月に一回のプチイベントが始まろうとしている。
「ちょっと早いんだけど、まぁ行事の関係で今やっといた方がいいかと思ってな！じゃあこれ順番に引いていけー。」
(席替え…！！！！)
北人は唾を飲みこみ、一生懸命心の中で唱えた。
(Aと近くの席になれますように…Aと近くの席になれますように…あわよくば隣の席でお願いします神様…！！！)
自分の所までくじ引きの箱が来るまでの間、ひたすらに彼女の隣になれるように神様に祈った。
担任は黒板に簡単な座席表を書いていき、既にくじを引いた生徒は各々歓喜や悲鳴を上げながら、黒板に自分の名前が印刷されたマグネットシートを貼っていった。
Aも例にもれず、一番後ろのベランダ側の席に自分のマグネットを貼っている。
あぁ、頼む、あの隣の席の番号がまだ引かれていませんように。
「はい北人。」
前の席の友達が白い箱を渡してくれる。もう残り僅かなくじしか入っていない箱に手を入れ、この一ヶ月の運命が掛かっているくじをそっと手に取った。
(あぁ…終わった…。)
紙に書かれていた番号は、あろうことか教卓の目の前。つまり、また彼女と離れた席になってしまったのだ。北人の挑戦は、進級してからこれで敗北7回目を更新した。
「北人、北人。来い。」
後ろから声を掛けられ返事もできず振り替えると、そこには壱馬が立っていて。くじを片手に教室の後ろの方まで北人を引っ張っていく。
「なに？今、超落ち込んでるんだけど。」
「いいからこれ。バレないように見ろ。」
教室中は相変わらず黒板の前に注目が集まっている。
北人は壱馬から差し出されたくじを、気付かれないように手に取って、番号と座席表を見比べ驚いた。
「こ、こ、こここここの席は…。」
・
・
33. 運を引き寄せる男 ◇北人side→←31. 子ブタのスタンプ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 442人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくら(プロフ) - 亜美さん» コメントありがとうございます！続きを楽しみに思って頂けて嬉しいです！頑張って引き続き更新していきたいと思います！ (2021年4月3日 14時) (
レス) id: 7c5a63d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 凄い続きが気に気になります (2021年4月3日 12時) (レス) id: 3c756a53fc (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - さくらさん» 別の人だったんですね、すみません。 (2021年4月3日 11時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - aina0826さん» ご指摘ありがとうございます。慎くんとは別の人物を想定して名前を付けたのですが、漢字が似ているので分かりにくかったですよね…修正しておきます、すみませんでしたm(._.)m (2021年4月2日 23時) (レス) id: 89a1d5f00b (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - 慎くんは長谷川慎くんのことだと思うんですが、漢字が間違えていると思います。嫌な思いをなさったらごめんなさい。 (2021年4月2日 23時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくら | 作成日時：2021年3月20日 23時
