15. 宙にただようその心 ページ16
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その日の放課後、私は紗奈と二人でファストフード店に来ていた。
サイドメニューとドリンクを頼んで席に着いた途端、彼女は神妙な顔で口を開く。
「吉野ってあんたのこと好きなんじゃない。」
『ぶっ』
「ちょっと、大丈夫？」
紗奈が何を言い出すのか気になりはしたが、それよりも喉が渇いていた私はストローをセットしてドリンクを勢いよく飲んでいた。その時にとんでもない発言をするものだから喉に詰まってむせ返ってしまった。私は紗奈に背中をさすってもらいながら何とか息を整える。
『バカなこと言ってんじゃないよぉ…。何を見てそう思ったの…。』
「あはっ、逆に一度も思わなかったの？私のこと好きなのかなーって。」
『そう思って告白して何度も振られてきた女だから…。』
「あれはちょっとAも単純すぎたよねー。……うーん、何て言うんだろう。」
紗奈は私の過去の恋愛を軽く受け流しながら、先ほどの言葉の意味が上手く伝わるように言葉を選んでいる。つまんだポテトを私の口元まで差し出して、そうだ、と呟いた。
「あいつがAのことを好きだって100％言い切れないけど、確実に意識はしてると思うよ。」
『もぐ…。意識？吉野くんが私を？』
差し出されたポテトを頬張りながら紗奈の言った意味を咀嚼しようとする。が、好きと意識することの違いが分からず、首を傾げた。
「うん。だって、バスケ部の練習試合を見に行くって言ってあんなに驚く？ただのクラスメイトが見に来るだけだし、『ふーん、ありがと』で済む話でしょ？それに、今朝のこともそうだし、昨日だったっけ？ノート運ぶの手伝ってくれたんでしょ。Aから話を聞いてるとなんかそんな気がするんだよね。」
『でも、全部偶然っていう可能性も否定できなくない…？』
「だからと言って、吉野がAに興味がないって断言するにはちょっと無理があるというか。好きかどうかっていうその感情の種類までは特定できないけど、今、吉野の意識はAに向いてるんじゃないかなーって。」
『そうか…。なんだか最近私だけ舞い上がってて心配してたけど、ちょっとだけ安心したよ…。』
ふぅ、と息を吐いてふかふかとは言い難いソファ席にもたれかかる。
今までいろんな人の思わせぶりな態度や優しさに自惚れて、その度に傷ついてきた。
吉野くんは、そういう人ではないと思いたいが、本当のところは彼自身にしか分からない。
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さくら(プロフ) - 亜美さん» コメントありがとうございます！続きを楽しみに思って頂けて嬉しいです！頑張って引き続き更新していきたいと思います！ (2021年4月3日 14時) (
レス) id: 7c5a63d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 凄い続きが気に気になります (2021年4月3日 12時) (レス) id: 3c756a53fc (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - さくらさん» 別の人だったんですね、すみません。 (2021年4月3日 11時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - aina0826さん» ご指摘ありがとうございます。慎くんとは別の人物を想定して名前を付けたのですが、漢字が似ているので分かりにくかったですよね…修正しておきます、すみませんでしたm(._.)m (2021年4月2日 23時) (レス) id: 89a1d5f00b (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - 慎くんは長谷川慎くんのことだと思うんですが、漢字が間違えていると思います。嫌な思いをなさったらごめんなさい。 (2021年4月2日 23時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2021年3月20日 23時
