11. その笑顔が私の糧 ページ12
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「おっ！Aありがとう！ん？吉野も運んでくれたのか！優しいなぁ！」
職員室へノートを持っていくと、そんなに長い会議ではなかったのか担任はデスクに座っていた。
「先生、このノートを全部女の子に持たせるのはダメでしょ。」
吉野くんは、自分が持っていたものと、ついでに私が抱えていたノートもまとめて勢いよくデスクの上に置く。そして一言、ダメ出しも付け加えて。
「いやごめんな〜。でもうちのクラスには吉野みたいな優しい男子がいるから、手伝ってくれるだろうと思ってな？」
「まぁそれは事実っすね〜。」
否定しないのかっ、と担任は豪快に笑い、それにつられて私も口を開けて笑ってしまった。
その後、2人で職員室を出て教室へと戻る。
「じゃあ、俺部活行くから。」
教室を出て、リュックサックを背負った吉野くんはじっと私の目を見つめた。
『…？どうしたの…？』
「…Aさん、1人でちゃんと帰れる？」
『そ、そんな子どもじゃないし！』
「ははっ、ごめんごめん。じゃあ、また明日！」
『あ、部活、頑張ってね…！』
私は、吉野くんの姿が見えなくなるまで、廊下に立ってその背中を眺めていた。
先程までのたった数十分の出来事を脳裏で反芻しては口元が綻んでいく。
どんどん離れていく彼の姿に少し寂しさを覚えながら、もっといっぱい話したかったと心の中で呟いた。
そのまま小さくなる彼の背中を眺めていると、体育館へ向かっているはずの彼の足がピタッと止まり、くるりとこちらを向く。
(えっ、なんで振り向くの！ずっと見てたのがバレる！？)
焦りと動揺でその場から動けずにいた私を見て、吉野くんは笑って手を振ってくれた。
「暗くなる前に早く帰れよ〜！」
廊下の向こう側から聞こえてくる、私を面白おかしく叱る声。
ほとんど生徒がいない校舎の廊下に彼の声が響き渡った。
なんだか少女漫画の世界に来てしまったかのような感覚だった。今、彼が見ているのは私だけで、でも、明日にはまたいつもの距離に戻ってしまう。嬉しさと寂しさの両方がこみ上げてきたせいで段々胸が苦しくなる。
はーい、と大きく返事をし、彼に向かって大きく手を振った。吉野くんのことをたくさん知れたこの数十分の時間をとても愛おしく思う気持ちと、そしてあの時手伝ってくれてありがとうと言う気持ちを込めて、鞄が大きく揺れるのも構わずに。
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さくら(プロフ) - 亜美さん» コメントありがとうございます！続きを楽しみに思って頂けて嬉しいです！頑張って引き続き更新していきたいと思います！ (2021年4月3日 14時) (
レス) id: 7c5a63d4e7 (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 凄い続きが気に気になります (2021年4月3日 12時) (レス) id: 3c756a53fc (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - さくらさん» 別の人だったんですね、すみません。 (2021年4月3日 11時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - aina0826さん» ご指摘ありがとうございます。慎くんとは別の人物を想定して名前を付けたのですが、漢字が似ているので分かりにくかったですよね…修正しておきます、すみませんでしたm(._.)m (2021年4月2日 23時) (レス) id: 89a1d5f00b (このIDを非表示/違反報告)
aina0826(プロフ) - 慎くんは長谷川慎くんのことだと思うんですが、漢字が間違えていると思います。嫌な思いをなさったらごめんなさい。 (2021年4月2日 23時) (レス) id: 9f5a293b5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2021年3月20日 23時
