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5話 ページ6

とりあえず家に入れてベッドに寝かせると、ゆっくりと毛布をかけた。



エース「スー、スー…」



『…規則正しい寝息ね…綺麗な髪』



少しだけ頭を撫でると、私は自分の机に向かった。そして引き出しからある本を取り出す。



''ブルースカイ''



よくお母さんが読んでくれた本だ。1つの王国の王子様と、1つの国の王女様が絶対に叶わない恋を



するというラブストーリー。子供の頃は泣かなかったけど、今読むと泣ける。



『…んぅ』



読み始めて何時間たっただろう。いつの間にか寝ていた。ベッドの方を見ると…



エースさんがいない。私は途端に焦りを見せた。ベッドの近くに走ると、一通の手紙が置いてある。



''お前ェの頭突き、痛かった…またどこかで会おうな!A! byエース''



『エー、ス…エース!!!』



私は思った。今エースさんの元に行かなきゃ、私はずっとこの村の嫌な人たちに虐げられる生活を送



る事になってしまう。そんなの嫌だ!!



『エース!!行かないで!!待って!!』



エースさんは海賊だから、もう出航していないといいんだけど。私はただそれだけを願って、がむし



ゃらに走り続けた。途中でこけたりもした。でも!でも…!!



《お前はダメな人間だ!》



《さっさとこの島を出て行け!!島の汚染だ!!》



《この島にゃお前はいらないよ!!》



今まで言われ続けられた事が脳裏に反響する。嫌だ。やめて!!!



がむしゃらに海に向かってかけていく。そして、海岸に着くとエースさんの船を探す。



『船、船………ない』



終わった。地面に座り込むと、私は俯いた。そして、涙する。



助けてほしかった。気付いてほしかった。貴方が唯一の希望だった。だって、エースさんは見聞色を



使えるんでしょう?初対面だけど…貴方を…信じたかった。



『うぅ…グスッ…お母…さん』



私はこの7年間、ずっと…ずっと、ずっと



何百人もの命を…守ってきた。そう…私は、



人質。

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作者名:FILM | 作成日時:2022年8月28日 14時

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