2話 ページ4
黒いマントは隠者…とはよく例えるが、白いマントを羽織る者は昼の街中でも少なくない。
だが、特にこういった浮ついた場では、
他の観客達は気にも留めなかっただろう。当然だ。
…今になって気づいたが、こいつは確かに、ベポとぶつかるまで“気配を消していた”。
だから、普段決して楽では無い航海や戦闘を経験してきたベポでも、人が近づいてくる気配に気付けなかったのだ。
かく言う俺も、人混みに慣れていない為か注意散漫になりかけていた。そうでなければ、ここまで怪しい人間を見逃す訳が無い。
一体何者だ?海軍………にしては
そこまで思考を巡らせた時、ふと気付いた。
……さっき掴んだ手の感触、あれは______
「僕ベポって言うんだ。良かったら君の名前も教えてよ!」
『…………、』
「折角会えたんだし、ファン同士仲良くなりたいなぁ!」
ベポの声に、そいつの肩がピクリと反応した。
その様子にハッとした俺は、すかさず間に入る。
「おい馬鹿っ、素性も分からねぇ相手に何言ってやがる」
「キャ、キャプテン…!?」
「この島にいるほとんどの人間は一般市民だが、中には海軍も紛れているかもしれない……。
迂闊に正体晒して目を付けられたらどうする」
「うぅ…はい、すんません」
ベポと身を寄せて小声で叱責する俺に、相変わらずの打たれ弱さでしゅん…と背筋が丸まった。
そんな俺たちを見ると、目の前のそいつが何かを差し出す。
「は…………………?」
手元のそれを見た瞬間、思わず声を漏らした。
白く小さな手指に握られた1枚の紙。
人と会話するには不自然なはずのそれが、俺には酷く懐かしいものに見えた。
忘れもしない……あの人が脳裏に浮かぶ。
急に黙り込んだ俺の顔をベポが心配そうに覗き込んでくる。
やがてベポの視線は小さな紙に向き、そっと受け取ると顔を近付けまじまじと見つめた。
「へぇ〜、すごくきれいな名前だね!______って、あれ?」
大きな体を左右に揺らし始めたベポに頭の霧が晴れる。
「……居ない?」
「そんな、さっきまで目の前に立ってたのに!
ねぇキャプ__「その紙見せろ」わっ!」
半ば奪い取る形で掴んだ紙には、細く滑らかな文字が書かれていた。
「…………………A」
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はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月10日 8時) (レス) @page25 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - お久しぶりです。続きの更新が楽しにしています😊後、この小説はトラファルガー・ローオチでお願いします🙇 (10月21日 18時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新楽しみに待ってます! (2023年3月13日 1時) (レス) id: 967e5fc6bc (このIDを非表示/違反報告)
まろん - 面白くて入りやすいです!!関係性や過去が気になります!頑張ってください!! (2022年12月27日 23時) (レス) @page25 id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めてまして、この小説は、トラファルガーローオチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援しています。 (2022年10月27日 8時) (レス) @page1 id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:毘張 | 作成日時:2022年9月24日 21時