17話 ページ19
A side
｢かわいい〜〜！｣
｢ウタと並ぶと姉妹みたいだわ！｣
『あはは……』
目の前に広がる大勢の観客から寄せ響く歓声にぎこちない笑顔で応える。
ライブ演出のために用意したいくつもの巨大モニターに映し出された自分の顔を見ていられず、目を覆いたくなった。
『もう、ウタ！顔出しはしないって言ったじゃない…！』
本来なら軽く挨拶をして、早々に退散する予定だったのに……
外されたフードを被り直そうとするとウタに止められ、ステージ裏に戻ろうと歩き出せば行先を通せんぼしてくる。
『こらっ！』
ｳﾀ｢待ってよA〜｣
思わず少し大きい声が出てしまったけれど、ウタにはちっとも響いていない様子。それすらもファンたちにとっては余興になってしまうらしく、くすくすと温かい笑い声が聞こえた。
『ライブの主役はウタなのに、私が目立っても意味ないでしょ…』
無遠慮に降り注ぐ視線に耐えられなくなった私が小声で訴えると、ウタは｢まぁまぁ｣と軽く宥めた。
ｳﾀ｢大丈夫だよA、私に任せて！｣
『任せてって……』
謎の自信に満ちた笑顔を見せると、ウタは観客たちを鎮めるように両手を振って前へ出る。正直心配でしかないけれど、ここまで来てしまったらどうしようもない。
一旦はウタに任せるとして、場の成り行きを見守ることにする。
ｳﾀ｢はいはーい、みんな落ち着いて！｣
ウタは明るい声で皆の注目を集め、続きを話し始めた。
ｳﾀ｢さっきも言った通り、私が歌い手として配信活動を続けられたのは、
ファンのみんなの応援とAのサポートがあったから。
Aはね、色んな才能があるんだ！
まずは作曲でしょ？ダンスの振り付けにグッズデザイン、それとライブの演出…あとは＿＿＿｣
まるで自分の事のように、指折り数えながら自慢げに言葉を連ねるウタ。確かに殆どは私が関わってはいるけれど、それは全てウタの為を思って、半ば無意識で取り組んだこと。
まさかこの場で褒められると思っていなかった私は、両手指で数え続けるウタを見て、嬉しくなった。
私には、彼女のような魅力も、大衆を導くカリスマ性も持ち合わせていないから……
だから少しでもウタの負担を減らせるようにと剣術の鍛錬とサポートを続けたこの12年間が、彼女の笑顔を通して決して無駄ではなかったと思える。
それだけが、唯一の心の救いとなっていた。
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はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月10日 8時) (
レス) @page25 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ(プロフ) - お久しぶりです。続きの更新が楽しにしています😊後、この小説はトラファルガー・ローオチでお願いします🙇 (10月21日 18時) (レス) id: b10205217f (このIDを非表示/違反報告)
akithin.(プロフ) - 更新楽しみに待ってます！ (2023年3月13日 1時) (レス) id: 967e5fc6bc (このIDを非表示/違反報告)
まろん - 面白くて入りやすいです！！関係性や過去が気になります！頑張ってください！！ (2022年12月27日 23時) (レス) @page25 id: 8c92803490 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めてまして、この小説は、トラファルガーローオチでお願い出来ますか？続き頑張ってください。応援しています。 (2022年10月27日 8時) (レス) @page1 id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：毘張 | 作成日時：2022年9月24日 21時
