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『うまぁ…』
久しぶりの2人での外食。
疾風のリクエストでカンジャンケジャンとカンジャンセウを食べに韓国料理屋へ。
これとこれが食いたいからここに行こ！予約する！と疾風のペースに飲まれて食べに来た。
ま、俺はこいつとご飯食えるならどこでもいいんだけど。
嶺亜「美味いね」
『良かった！』
辛いのが苦手な俺を気遣ってくれ、韓国料理屋なのに辛いものは一切頼まない疾風。
本人は辛いもの好きなのにな。
嶺亜「辛いの食わなくていいの？」
『同じもの食いたいから要らない』
はい、と辛くないビビンバをよそって渡してくれる。
そういうことをサラッと言うの狡いよね。
嶺亜「てかよくこの店知ってたね？」
『教えてもらった』
嶺亜「誰に？」
『北斗くん』
誰に、なんて聞いた俺が馬鹿なんだけどさ。
『甲殻類アレルギーだからあの人食べられないけどメニューにあるの知ってたのと、辛いの好きだから前々から誘ってくれてたんだよ』
疾風が可愛がられてるからこそなのはわかってるけど、胸にドス黒いものが広がる。
ああ、嫌な奴だな俺。
こいつのことになるとどうしてこんなにも感情的になるんだろう。
疾風は、俺のものじゃないのに。
こいつの気持ちが俺にだけ向けばいいのに。
なんて、思うのは勝手でしょ。
毎日嫉妬で狂いそうなのに、疾風はこの綺麗な顔で俺に笑いかけてくるんだ。
平然を装うのは慣れっこ。
それでも、漏れ出てしまう気持ちは抑えられなくて。
嶺亜「疾風」
個室なのをいいことに全て言ってしまおうかと思ったけれど、幸せそうに食べる疾風を見ただけでどうでもよくなった。
いや、どうでもよくはないんだけど。
今じゃなくていいかもな。
『あとで飛貴達も連れて来よっと』
前言撤回。
やっぱどうでもよくない！
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作者名：桜 | 作成日時：2023年11月14日 1時
