紅の女王Ⅲ (ページ50)

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森本「羽月！りせ！」

ジェシー「ゆりちゃ〜ん！羽月〜！」

え、とりせと驚きがハモった。

MC中なはずの末ズが裏に来た。

ジェシーは緊張で強ばるりせにハグをして、笑わせている。

森本「2人は思ってる以上にネガティブだから笑わせてきて、ってきょもに頼まれたんだよ」

顔を覗き込んで、大きな手で私の手を包む慎太郎。

『……出て行って大丈夫そう？』

慎太郎の真っ直ぐでキラキラしている目から逃げたくて、更に俯いた。

また、ドス黒いモヤモヤが顔を覗かせる。

ああ、どうしてこんなにもネガティブなんだろう。

せっかくゲストとして招いてくれて、今も本番中なのに心配して来てくれたのに、どうして。

森本「……羽月」

いつもより低い慎太郎の声に俯いた体がビクッと更に強ばった。

森本「俺ら、そんなに頼りない？」

『っ、そんなことない！』

森本「ふはっ、やっと顔上げてくれた！」

『んむ』

咄嗟に顔を上げれば待ってましたとばかりに頬を包まれた。

森本「絶対に守る。絶対に楽しい時間にする。だからさ、羽月はいつもみたいに我儘な女王様として俺らを翻弄して、楽しんでくれればいいから！」

ね、と少し潤んだ慎太郎の瞳。

その瞳に映る私は今にも泣き出しそうで。

『……慎太郎、抱っこして連れてって』

森本「あは！いいよお、女王様！羽月はこうでなくっちゃ！」

ジェシー「あ、ゆりちゃん！俺らもあれしよ！ね、ね！」

りせ「ん、いいよ」

本日の主役達に抱き上げてもらって移動している私とりせ。

傍から見たら異様だけど、私達の中では正常。

『大好きよ』

ステージに立つ4人には後で言おうかな。