紅の女王Ⅲ (ページ43)

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in DOME (4/21) ページ43

───りせside

りせ「すごい人の数……」

4月21日、私と羽月は東京ドームにいた。

『ゆーちゃん、はぐれるから手繋ご』

りせ「ん」

お忍びでのSixTONES 慣声の法則in DOME参戦。

羽月の名義が運良く当たったからマネージャーさん達に我儘を言ってスト担さん達に混ざって客席へ入る。

人が多いからバレないとは思うけど、念には念を入れて百合岡のゆーちゃん、紅谷をくれないって読んで、くれちゃんと呼ぶことにした。

『は〜楽しみ！セトリも見ないようにしてたからワクワクとソワソワが半々だね！』

りせ「くれちゃん煩いよ。テンション上がるのはわかるけどもう少し静かにね」

だってぇ、といつもよりも口数の多い羽月。

興奮してるのは私も一緒。

大好きな彼らが1番生き生きと輝いているのをファンの目線で楽しめるんだから。

いつもは関係者入口から入っていたから、初めて挑戦するスマホをピッとかざしてのチケット発券。

インスタでよく見るチケット発券の動画を撮って、せーので一緒に裏返した。

『「……え"？！」』

りせ「ほんと？」

『夢じゃない…？』

アリーナ、の文字が書かれたチケット。

私達がこんないい席に座ってもいいのかと不安がよぎった。

それは、羽月も同じみたいで。

『……いつでも会えてしまう私達だけどさ、今日はスト担として来てるから。だから、めいっぱい楽しも、ね？』

大好きな気持ち、応援する気持ちに優劣は無いから。

それはアイドルである私達がここにいる誰よりも理解している。

『写真撮って送ろっか』

どこもスト担さんで溢れかえっているから端っこに寄って、チケット片手に自撮りをする。

今日私達が一般席にいるのを知ってるのは慎太郎くんとマネージャーのだあくん、見学で入るしーくん、うみくん、がりさん。

その5人に安否確認として送るんだそう。

安否確認ってどういうこと？？？

『りせ、そろそろ席に行こっか』

りせ「ねえ、名前」

『ミスっちゃった』

バケハを深く被ってマスクをしている羽月の顔はほとんど見えないけど、繋がれた手がすごく熱を帯びていてテンションが高まっているのがわかった。