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高「変な意味は一個もないんですけど、」
駐車場から出ないまま、こーちさんがちょっと気まずそうに言う。何かと思い、目を見たまま話の続きを待つ。
高「Aさんの、お家ってどっちの方っすか？…歩きながらできる話なんで、歩きながらでもいいかなって！」
「バイト終わりで疲れてるだろうし！」なんて焦ったように続ける。「変な意味はない」ってそういうことか、と納得。こーちさんならそういうの疑いもしないのに。
「あっちです。むしろ、こーちさんの帰る方から離れるんじゃないですか？」
高「俺は大丈夫です！どうせ帰るのこれでだし」
バイクを軽くポンポンと叩きながら安心したような笑顔で言う。全く気にしてないように言うからこっちまで同じように安心したような顔をしてしまう。
高「それじゃ、いきますか？」
「はい」
バイクを押して歩き始めるこーちさんの隣を歩く。なんか変な感じ。
高「すいません、待っちゃって」
「いえ、全然。むしろ待たせちゃってすみません。…で、話って？」
高「あー…そんな大きい話じゃないんですけど…大我との関係が気になって…。大我に女の子の友達いるの珍しいから」
ゆっくりと話しながら話したかったことは何なのか聞いてみれば、「大我との関係」なんて言う。だから、さっき大我の名前が一瞬出たのか。
「あー…えっと…」
高「…付き合ってる、とか。だとしたら今の状況ってあれですか、バレたらヤバかったり…」
「待って、付き合ってない。全然違うんです！」
突拍子もないことをいうのに驚いて思わず大きい声で否定する。今まではガザガサの喉でも出せる範囲の声で話していたのに、急にデカい声を出しちゃったから咳が出てしまう。
高「すいません、大丈夫ですか！？」
「だ、いじょうぶ…です、すみま、せん」
高「…これ、よかったら」
止まらない咳と、その合間で声を出したことで息も乱れる。それを見かねてかさっき買ってた水を差しだしてくれる。さっき買ってたものを、なんて申し訳ない、と思って首を振って拒否をする。
高「気にしないで、ね？」
器用にバイクを抑えながら水の蓋を開けて差し出してくる。…ここまでされて拒否するのって逆に申し訳ないのでは？
そう思い、それを受け取って喉に流す。それでも咳はすぐには止まらなかったけど、何度か流し込むうちに落ち着いていった。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年3月8日 2時
