sound (ページ39)

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　「あ、ジェシーさん」
ジ「おつかれー！」

　ライブの後、恒例の打ち上げもして家に帰る途中、いつもバイトをしているコンビニのところでジェシーさんを見つけた。

　背が大きい人だから、今日のライブも見に来てくれていたのは分かっていた。と言うか、今日だけじゃなくて何回も来てくれてるし。

　最初に私が誘った以来、自分でチケットを買って何度も足を運んでくれているジェシーさん。その度に熱のこもった感想をくれるから、どんどん私たち自身も仲良くなれた。コンビニでもよく会うしね。

ジ「今日もすげーカッコよかった！」
　「ありがとうございます」
ジ「やっぱ最後の曲で泣いちゃうんだよなー。俺あれめちゃくちゃ好き」
　「見えてたよ？泣いてるとこ」
ジ「マジで！？」
　「マジ。ジェシーさん、大きいもの」
ジ「うわー、なんかハズイ！」

　「HEHEッ」と本当に少し恥ずかしそうに頬を掻く。

ジ「あ、これ！」
　「え？」
ジ「なんつーの？差し入れ？みたいな」

　突然差し出された見覚えしかない袋。その中には水とのど飴。…今、買ってたのかな。

　「ありがとう、ございます」
ジ「どーいたしまして」
　「でもこれ、自分用に買ってたんじゃないんですか？」
ジ「ん－ん。Aちゃんに渡したくて。…差し入れするために、待ってた」

　「喉、気を付けてね」と言う言葉も添えられて、目を丸くすることしか出来ない。待ってたって…私、打ち上げもしてきたんだよ？私に「喉気をつけて」の前に自分の体調の方も考えて。もう夏も過ぎて秋になった時期に、ずっと外にいたら寒いでしょ。

ジ「あとさ！最近暗いじゃない？だから、心配で」
　「…心配、とは」
ジ「Aちゃんの家、あっちなんでしょ？あっち街灯もないし暗いし、だから、送ります」
　「え！？は！？大丈夫！」
ジ「差し入れのついで！感想も言いたいし！」

　…いつだか、こーちさんが送ってくれたこともあったよな。その時も心配だからって。そんな心配しなくてもいいのに。

　「…ほんとに、いいんですか？」

　断固拒否、みたいな感じで断るのも悪いし、一応確認みたいな感じで聞くと大きく頷かれる。…それなら、申し訳ないけれどお願いするしかない。優しさを無下にする方が申し訳ないしね。

　「なら、すみません。お願いします」
ジ「よし任せて！」
　「そんな心配するようなものでもないんですけどね」
ジ「いや、あの暗さは普通に心配だよ」