Wake up (ページ6)

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森「ジェシー？」
　「ん－？」
森「先、中入ってくんない？そんでAのこと探してよ」

　なんとなく、いつもと同じでは面白くない、と思いジェシーに言えば「えー」と言いながらも頷いてくれた。いつも俺らのやり取り見てたしやることはわかるだろう。

　ガラガラとドアを開けてAがいるはずの教室に入っていくジェシー。俺は入り口から中の様子を見る。人がいる感じがない教室。中にいるジェシーに声を出さないように人差し指を口に当てて伝えると同じ動きをしながら頷く。

森「Aー？」

　わざと俺が名前を呼んだりしながら入ってきたのが俺と信じ込ませる。…なんとなく、今日はあそこな気がする。

　教卓を指さしてジェシーに指示する。驚かす、ような動きをすればまた伝わったようで、教卓の方に足音をできるだけ立てないようにしながら近づいていく。そして、

ジ「うわっ！！」
　「ギャッ！？！？…っいってー…！」

　ジェシーが教卓の中をのぞきながらでっかい声を出したと同時にドカンとでっかい音が聞こえる。その後に聞こえたAの声。心配そうな顔をしながら笑うジェシー。

　「まさかジェシーと思わなかった…」

　のそのそと教卓の中から出てくるA。片手にカバンを抱え、頭を抑えながらジェシーに話しかける。さっきのドカンという音は頭をぶつけた音か。ジェシーはやりすぎた、と思ってるのか「ごめんね」なんて言ってる。…いや、こんなん日常茶飯事だから気にしなくていいのに。俺も何度いろんなとこをぶつけたことか。

　「ジェシーってことは慎ちゃんは？あいつなんかやらかした？」
森「おい、なんでいないとすぐやらかしたと思うんだよ」
　「あぁ、いたの。」
ジ「慎太郎が行けって言ったんだからね？」
　「分かってる分かってる。だからぶつけたのもあいつのせい」

　俺を見つけたAとジェシーがなんやかんやと言いながら入り口に戻ってくる。そのまま流れるように教室を後にして3人で帰る。

　
　
　この感じがすごい楽しかった。隠れて見つけて脅かすだけ。それだけなのに、とても楽しかった。

　だから、あの日も同じように隠れてた。そのせいで、このかくれんぼが出来なくなるなんて全く思わずに。

　