Wake up (ページ40)

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　「ほら！今の見た！？」
森「流れた！？」
　「バカ！！ちゃんと見といて！！」

　ゆるゆると話をしながら夜空を見上げているうちに星が流れた、らしい。ボケッといていて見逃せば夜空を見上げたまま怒られる。

　怒るその言葉を無視して夜空に向けてた視線をAに向ける。俺がAを見ていることも知らず夜空に目を向け流れ星を探す。首が痛くなりそうなほどまっすぐ上を見ながら。

　「ほら！流れた！今日結構流れるよ！！」
森「え？まじ？」
　「また見逃してんの？…ちょっと、こっち見んな」

　俺の視線に気付いたAが少し恥ずかしそうに次は頭を弱い力で叩く。

森「いってーなー…首痛そうだなって見てただけ！」
　「そんなん気にしなくていいから！…ほら！」

　見てたことがバレたことが恥ずかしくて本心を混ぜながら誤魔化す。そんなタイミングでまた星が流れたようでAは夜空を指をさす。せっかくこんな深夜に家を抜け出してきたんだ。さすがに一回くらいはちゃんと見よう、とAが指さす方を一緒に見上げる。その瞬間にキラッと、スーッと星が流れる。

森「…毎回思うけどすげーな」
　「ね。流れたの、どこに行くんだろう」

　そこから時間を置いて何個も星が流れるのを小さく会話しながら眺める。願い事もなにもしない。ただ眺めるだけの静かでゆったりとした時間。

　「っくしゅ」

　どちらかがくしゃみをするとか、寒そうにするのが合図。

森「そろそろ帰るか」
　「ん－…そうだね。」

　それが合図で立ち上がって砂の付いたところを手で払う。そのせいで手に何かが付く。…砂、なんだろうけど、変に手がサラサラして気持ちが悪い。

森「A、ウエットティッシュとか持ってない？」
　「あるけど？」
森「ちょーだい」
　「いや。何も貸さないって言ったでしょ？」
森「えー！お願い！砂ついて手が汚いの！おねがいおねがいおねがい！！」
　「うるさい！…次は少しくらい自分で持ってきて！」

　ほら、結局くれるんだよ。手を拭きながらAと来た道を戻る。そんな長い時間ではないけど深夜に一緒に夜空を見上げるあの時間が実は結構好きだった。

　…その後抜け出したのがバレてて親に怒られるまでがセットだったけど。

　俺、免許取ったんだ。だから何処にでも行けんの。お前起きたら夜中に海にでも行こう。Aは綺麗な夜空見れるし、俺は好きな海に行けるし、最高だと思わない？