Wake up (ページ39)

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【天体観測】ページ39

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　流星群だとか、月食だとか、何なら満月も。年に何回もある夜空の話題がAは好きだった。

　『行くよ!』
森「どこに？」
　『ちょっと慎ちゃん知らないの！？今日流星群だよ！？』

　もうすぐ深夜、と呼ばれる時間になる頃。電話で呼び出される。いつものことだし、と家を抜け出してAの家へ向かうと、家の前でスタンバっていたA。お互い声は出さず片手をあげて挨拶をする。もう親なんかは寝てる時間だし、お互い親にバレないようにこっそり出てきているから出来るだけ静かにするために。俺は結構これが好きだったりする。…なんか秘密っていうか？ミッション感っていうか、なんかそんな感じで。

　二人で小さい声で会話しながらいつもの森の方を目指す。森って言ってもそんなでかいもんじゃなくて、木がいっぱいで、暗くて星がきれいに見えるところ。

森「今回も荷物の多いことで」
　「必要なんだって」

　有名な曲みたいに望遠鏡とかラジオを持っているわけではない。水筒だとか、防寒着だとか、いろんなものを詰め込んだリュックを背負っているA。

　「逆に慎ちゃんは荷物少ないよね、毎回」
森「どうせA持ってるしいいかなって」
　「何も貸さないよ？」
森「そんなこと言って貸してくれんでしょ？」
　「貸さないって」

　毎回そんなことを言いながらも何かあったら貸してくれんだから。優しいくせに素直じゃない。

　少し歩いて目的地の小さい森に着く。中をまた少し進めばちょっとだけ開けた場所に着く。シートも何も引かずにそこに並んで腰かける。

森「…もう秋だもんな」
　「なに、急に。秋なのはわかってたじゃん」
森「さすがに夜は冷えるね」
　「短パンなんて履いてるからだよ」

　俺の布に覆われてない膝をペシッと叩きながら笑う。もう声の音量も気にしなくていいからいつも通りに。

森「で？今日は何流星群なんですか？」
　「知らない」
森「知らない…」
　「でも流星群だって言ってたから、見なきゃなって」

　Aは別に星とかに詳しいわけではない。ただ、好きなだけ。だから流星群の名前なんて毎回知らないし、満月の周期だって覚えちゃいない。だから毎回突発的というか。「ニュースで聞いたから」「帰り道に綺麗に見えたから」…毎回それに付き合わされる身にもなれよ、と思いながらもこの空間が好きだから毎回付き合ってしまう。