Wake up (ページ31)

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【飲み】ページ31

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　少し、俺が大人になってからの話もしようか。

高「今日飲みに行かない？」

　驚くことに大学を卒業して就職した先には高地がいた。中学の頃の先輩の、あの高地。部署は違うけどいつも気にしてくれている。今みたいにいつも飲みにも誘ってくれる。…でも、今日はちょっと。

森「今日は…ちょっと…」
高「あー…あの日ね。なら、明日は？」
森「明日なら全然いける！…いけます」
高「無理してそういう話し方しなくていいって」
森「まだ会社の中だから、一応…」

　俺の慣れない敬語を笑う高地。会社の中では敬語、他では今まで通りの話し方。一応っていうかちゃんと先輩だし、そういう区別はちゃんとつけてやっている。他の先輩たちにもね。樹とか、北斗とかにも。

京「明日なら俺も行けるー」
高「うわ…俺、まだお前のこと誘ってもないけど？」
京「でも誘うつもりだったでしょ？」
高「慎太郎が良ければね。どう？いい？」
森「そりゃもちろん！」

　スッと俺の後ろから現れた先輩の京本さん。部署も同じで、年も近かったからすごく仲良くしてくれている。で、高地とも仲のいい人。そして俺と高地の普段の話し方をみて「俺もそれでいいよ」なんて言ってくれたちょっと変わった人。

京「でもさー、慎太郎、週に一回くらい？ダッシュで帰る日あるよね。今日もそれ？」
森「あー…まぁ、そうっすね」
京「彼女？」
森「彼女はいないって言ってるじゃないすか！」
京「彼女じゃないのにあんな急いで帰るのって、なんで？」
森「あー…まぁ、それは…」

　週に一回、ダッシュで帰るのはAに会うため。別にそれを隠してるわけではない。でも、明るい話でもないし、なんとなく話すのをためらってしまう。

高「…まだ、なんだ」
森「まだ…だね」

　北斗から話を聞いて事情を知ってる高地が少し寂しそうに言う。それを見て京本さん…きょもは頭にハテナを浮かべる。

森「別に隠してる話じゃないっすよ。明るい話じゃないから…それでも良ければ明日話しますよ」
京「聞いてもいいなら知りたいかな。」
高「でも、大我、なんでそんなに気になるんだよ。人の事情に首突っこむような奴じゃねーじゃん」
京「ん－…ただ急いで帰ってるだけなら気にしない。けど、いつもその次の日元気ないんだよね。元気が取り柄みたいなやつじゃん？慎太郎って」

　最後の言い方になんとなく引っかかるが、元気がなかった、というのは自覚がなかったので少し驚いてしまった。