Wake up (ページ13)

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【部活】ページ13

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　中学も高校も俺は陸上部だった。短距離走。準備体操をして体をあっためてから部活の仲間と一緒にタイムを計りながら走る。何回も何回も。

　Aは中学も高校もバスケ部だった。お互いに運動部だったから、部活が終わる時間が同じだったり、大会のタイミングが近かったりで、一緒に帰る時なんかは都合がよかった。

　「Aナイスー!」

　体力づくりで走っている時、ちょうど体育館の前を通りかかった。そのタイミングで聞こえたAの名前。それに反応して中をチラッとのぞけば嬉しそうな顔でハイタッチをするA。体育館の中で行われる部活と外の部活。お互いの練習風景を見ることはなかなかなくて、気になってしまった俺は、そのまま入り口から中をのぞいた。

　コートの中を走り回り、パスをもらってシュートを打つ。Aに投げられたボールは吸い込まれるようにゴールの中へ。リングにも当たらず静かにスッと入っていった。

　「よっし！」

　また嬉しそうな声を出してハイタッチをする。その姿が輝いて見えた。元々運動神経のいいA。何のスポーツもそつなくこなすタイプ。でも、バスケをしている時は一段と楽しそうだった。Aにバレないうちに俺も部活に戻ろう、としたタイミングで顧問に見つかり怒られたのも忘れられない。それが中学の時。

　高校でも中学と変わらない部活に入った俺たち。体育館で行う部活の関係で外を走っていることも多かったバスケ部。走ってる姿は中学に比べてよく見かけるようになっていた。今日もハシッテンナーと思いながら俺もトラックを走る。たまに目が合えば手を振ってくるから、俺も小さく返していた。

　その日は部活の終わりが少し遅くなって、いつもより遅くにストレッチをしていた。今日はAと一緒に帰るわけじゃないし遅くなっても別にいいや、とゆっくりとストレッチをしていた。帰っていくほかの部活の人たちの中にバスケ部もいたからあっちはもう終わっただろうしね。

　「あー！ちょっと！勘弁してください！」

　聞き覚えのある笑い声と共にいつもより少し高めの声がしてパッとそっちを見てしまう。そこにはやっぱりA。いつもは下ろしてる髪を部活の時だけは結んでいる。その髪の毛を揺らし、ジャージを纏ったAとその隣にすらっとした人。

　その人が樹で、俺が初めて樹を見た瞬間だった。