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「あっつーーーい…べたべたするーーー…」
北「うるさい」
暑すぎる。相変わらず髪は下ろしてなきゃいけないし、カーディガンは暑いからさすがに脱ぐようになったけど、ブラウスは長袖だし。
この場所にいるときくらいスカートは短くして、髪も結んで、袖もまくって、首元のボタンも明けて涼しくしたいけど…どれもできるような状況じゃないし。
息をするように気温への文句を言えば、何回目かのそれにしっかりとイラついた感じを隠さないで一言投げてくる男。相変わらず気が向けば言葉を返してくれるような感じだけど、最近はずっとイラついてる。こいつも多分暑いって思ってんだろうな。
北「…単純に疑問なんだけどさ」
「お?珍しい。なーに」
北「暑いならなんか、涼しくなるようにやってみたら?」
「…出来たらやってんのよ!!」
北「…へー」
やりたいけど出来ないことを他人に言われるとすごーーーく腹が立つというかイラつくというか。暑さでもイラついてるし、とギャンギャンって感じで色々と文句を口から出してみれば、諦めたように本を閉じた松村北斗が私をじーっと見る。
「え、なに、急に。怖いじゃん」
北「あなた、すごく陽の人じゃない」
「そう?まぁ、あなたよりは陽かも?」
北「樹とも仲いいんでしょ?陽じゃん」
「その話で言えばあなたも陽だよ?」
北「…俺のことは置いといて」
また深くため息をつく。ため息つきすぎじゃない?
北「俺の思う陽の人ってなんというか、もっと恰好が派手?みたいな」
「例えば?」
北「周りがちょっと引くくらいにスカート短かったり、髪の毛なんかいろいろしてみてたり、怒られるくらいボタン開けてみたり。なんか…そんな?」
「ん−…言いたいことはわかるけどさぁ、あなたの思う陽をひとくくりにしないでくれる?色々いるんだよ?」
北「分かってるけど。なんか、意外な感じしたから」
「そーですか。」
北「なんか理由あるの?」
「ないよ。…しいて言えば…うん。彼氏が、こういう感じの子の方が好きらしいからさ。ほら!好きな人の好きなタイプにはなりたいじゃない?」
北「そういうもん?」
「私はね。あなたはそういうのなさそう。己の道を突き進む系?」
北「どうだろうね」
ちょっとだけ、ヒヤッとした。珍しく私のことをじっと見る目がなんだかいろんなことを見透かしているようなそんな感じがして。質問の内容も相まって、色々、気付いてるんじゃないかって。
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作者名:天羽 | 作成日時:2023年6月18日 16時