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「これは、付き合ってくれるってことで、いいの？」
京「…お互い好き同士って確認し合ったのに付き合わないことあるの？」
「いや、…わかんないけど、確認？」
落ち着きの中で、ちゃんと確認だけはしておきたくて聞いた言葉に京本が小さく笑う。顔とかで好きになったわけじゃない。けど、好きな人の笑顔ってだけで輝かしいのにきれいな顔の人のそれは威力がすごいと知った。
京「付き合おうよ。…でも、約束があるんだけど」
「ん？なに？」
小さな笑みを浮かべたまま京本が少しだけ近づく。そして耳に寄せるようにして、小さな声で呟く。
京「付き合ってること、誰にも言っちゃダメ」
「誰にも？」
京「そう、誰にも」
私だって別に周りに言いふらしたいってタイプじゃないからそれが苦ではない。でも、改めて言われることに小さな違和感を感じた。
京「秘密。ね？」
漫画のように人差し指を口元に当て、小さく首をかしげながら言う京本の姿のきれいさにそんな違和感は一瞬で吹き飛んだ。秘密の関係、いいじゃない。なんてむしろノリノリになっちゃう。
「分かった、秘密、ね」
彼に倣って人差し指を口元に当てながら言う。二人で同じポーズをして笑い合う。
幸せな空間。自分の気持ちを落ち着けるためだった告白が叶ったことに浮かれた。秘密の関係、なんていう甘い言葉に浮かれた。浮かれてしまった。あの瞬間の違和感を信じればよかった。
浮かれたままの私は「秘密の関係」だからデートらしいデートに出掛けることがないことにも、今までとあまり変わりがないことにも違和感を持たなかった。
付き合ってお酒を飲めるようになって数か月。友だちであった時から変わらない、夕ご飯を食べに行く感覚で飲みに行った。2人きりでは初めて。京本と一緒にお酒が飲めることが嬉しくてその時も浮かれていた。
浮かれていたから、飲みすぎた。
自分のキャパをわかっていなかったし、浮かれてたせいでお酒が進んで、しっかりと酔っ払った。
京「大丈夫？」
「ん−…」
京「あんまり強くないんだねぇ」
「そうかもー…あー、あと、」
京「ん？」
「きょーもとと一緒だから飲みすぎてんのかも」
いつも以上に素直に出たその言葉に京本の目が丸くなったのが正面から見てて分かった。
目を丸くしていた顔がの口元がゆっくりと弧を描いて、正面からいなくなる。動いた京本を視線で追う。
京本が私の隣に来た。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年12月3日 2時
