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その日がきっかけとなり、同じ授業の時は話をするようになったし、毎日のようにメッセージのやり取りをするようになった。たまに一緒に出掛けたり、どちらかの家でゲームをしたり。
男女の友情、ってこういうのだよな。って感じ。趣味が男の子よりな感じで生きてきたこともあってか、私は男女の友情は成立する派だったし、今までのそれと一緒、だった。
でも、今回に限ってはそれは成立しなかった。私が崩した。
居心地が良すぎた。会話のテンポ感だったり、無言の時間の雰囲気だったり。その全部がすごく落ち着く。そう思った途端に、急に気持ちが切り替わっていって、「この人が好きなんだ」と思うようになった。
そう思って堪らなくなって。家に行ったり2人で出かけたり、メッセージのやり取り一つに心を乱されるようになったから、一回伝えて落ち着いてやろうっていう私のワガママで告白した。
「好き、みたいなんだよね。京本といると落ち着くの。…でも、一回好きと思ったら落ち着かなくなっちゃって、もう全部言ってスッキリしちゃいたいって、ワガママなんだけど。…言いたくて」
京「うん」
「言いたかっただけなの。だから、あんまり気にしないでこれからも今まで通りでいたい。」
京「今まで通りでいいの？」
「え？」
京「もっかい言って。俺のこと、どう思ってんの？」
「…好き、らしいです」
京「ん。俺も」
「…はい？」
京「なにそのマヌケ面」
「…だって、俺もって」
京「うん。そう言ったよ？」
「…だって私たち、完全に友達だったじゃん」
京「うん。そうだったね。でも、お互い同じ気持ちだったんじゃん。友だちってだけじゃなくてさ」
そう言って誰もいない教室で頭を撫でられた。軽くたたき合ったり、握手をしたり。友だちとしての距離感での触れ合いはあったけど、頭を撫でられる、みたいな触れあい方は初めてで固まってしまった。
でも撫でてくれる手から京本の気持ちが伝わってくるようで、その温かさにじんわりと心が解けて、今までで一番落ち着いたのを覚えてる。
思い返せばあれが一番気持ちを感じたかもしれない。もっと深い触れ合いよりもあの手と頭だけのあの触れ合いが、一番愛があった、かもしれない。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年12月3日 2時
