検索窓
今日:3 hit、昨日:29 hit、合計:54,109 hit

59 ページ10

side.k


 急いで着替えてさっきまでAのいた席に戻れば姿はなかった。会計してんのか?とレジに行ってもいない。


 待っててっていったのに、まさか帰った!?


 焦ってレジにいたバイト仲間に聞いてみれば、今さっき出て行った、という。礼を言って慌てて外に出れば入り口のすぐ横にしゃがむ人影。探してた服装。



高「外で待ってるとは思わなかったなー」
 「中も迷惑かなーと思って」



 声をかければ顔を上げて俺の方を見る。いつものちょっと無愛想な感じじゃないふにゃふにゃの顔。俺が着替えてくる前よりも酔ってるように見える。


 …いや、わかるよ?席を立った途端、店の外に出て、外の空気吸った途端急に酔いが回ったみたいになる感じ。それかもしれないけどあんまりにいつもと違う雰囲気で、ちょっと焦る。



 「ねぇねぇ、優吾くん」
高「なんです?」



 しゃがんで俺を見上げた状態のまま呼ばれる。いつも声にも気を付けてるのに、Aにしては大きめな声だし活舌は緩いし…本当に大丈夫かよ。



 「いつもバイクだよね?バイト終わり、コンビニ来るときいつもバイクでしょ?」
高「そうだよ」
 「帰るんだよね?」
高「そうだよ?」
 「バイク、おいてくの?」
高「いや?置いてかないけど」
 「?」



 丁寧にゆっくり質問に答えてたはずだし「バイクを置いて行かない。でもあなたと一緒に帰る」そんな状況でこの後どうなるか、なんて一択なのに、不思議な顔をするこの子は本当にわかっていないのだろうか。



高「とりあえず、バイク取り行ってくるけど…どうする?待ってる?一緒に来る?」
 「…行く」
高「はい。それなら立ちましょ?」



 …酔っぱらいだから。立ち上がらせるためだから、しょうがない。酔ってる…知り合い?友人?の介抱だから。いつもジェシーとかにやってるのと一緒だから。


 だいぶ何個も言い訳みたいなことを心で唱えながらAに手を差し出す。そんな俺の心の中なんて知ったこっちゃないように少し戸惑いながらも手を取って立ち上がる。立った後、すぐに手を離した…。いや、その為の手だし、別にいいんだけどね、歩くのも心配だから、ちょっと葛藤。



 「バイク、どっち?」
高「…こっち。歩ける、よね?」
 「ん。あるける」



 その言葉を聞いてからバイクを置いている駐車場まで向かう。いつも一人で歩くよりもだいぶゆっくり。歩幅を気にして、とかじゃない。酔っぱらい、単純に歩くの遅い。

60→←58



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (125 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
353人がお気に入り
設定タグ:SixTONES , 高地優吾
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:天羽 | 作成日時:2022年11月30日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。