sound 2 (ページ48)

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side.k

　ちいさく彷徨う視線、いじいじと動く手元、元々小さい声をもっと小さくして、歯切れ悪く紡がれる言葉。

　そんな姿を見ていたら「少しやりすぎかな」と思うような、ずっと考えていた提案を口から出すことが出来ていた。自然と、恰好よくって感じではなく突っかかりながら、それこそ歯切れ悪くだったけど。

　予想していた通り、戸惑いの表情を見せるA。でも、言ってしまったからには俺も引きたくない。

　好意を自覚してから感じた「支えたい」という気持ち。

　自分の前で弱音を吐いたり、涙を見せたり。そんなの見たらドンドンその気持ちが膨らんで、好意が伝わるかどうかとかはどうでも良くて、それを見せてくれるなら支えたい、受け止めたい。と思うようになった。

　今だって前に比べてすがすがしい顔をしてるけど、前に言っていた「歌えなくなる」という話。そして、大我とのもめごと、話したという今後の事。そして誘われたライブ。

　これを全部繋げたらなんとなく、そのライブで何があるかが予想出来た。それを大勢に伝えること。その姿を想像したら、やっぱり「支えたい」の気持ちが膨らんで…。

高「俺がしたい、って思っての提案だから、遠慮とかならしないでいい。…嫌っていうなら藩士は別だけど」
　「…申し訳ないなぁって思って。優吾くんだって疲れてるでしょ？バイトの後なんて。それにこれ以上甘えるのも…ちょっと…」

　「甘えてほしいんだけど」なんて言うのはちょっとかっこつけすぎだよな、と思い言えなかった。でも予想通りに遠慮をしていたA。予想通り過ぎてちょっと笑えてしまう。

高「いーの。俺がこうやって人後ろに乗せたり、話ししたりするの楽しいなって思ってのことだから。…だめ？」
　「…優吾くんがいいなら」
高「いいんだって。なら、教えてね、バイトの時。その時にまた今日みたいに後ろ、乗ってほしい」
　「わかった。教えるから、無理な時は言ってね」

　Aのためっていうのに「無理」っていうことは本当に予定が入っててどうしようもないとき以外ない…と思う。でも、それを伝えるのもなんか…やっぱりカッコつけすぎな気がして、とりあえず頷いた。

　バイクに乗ること、話をすること。それが少しでも支えになればいい。それで少しでも楽になってくれればいい。

　それが叶うかはやってみないとわからないけど、やらないよりいい。それが実践できそうで俺はひとり少しだけホッとした。