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高「…ライブのお誘い？」
「え、よくわかったね」
まだ内容を言っていないのにビッタリとあてられて思わず驚く。だってまだ日付確認しただけだよ？
高「だって、初めてライブ誘われた時と同じ手法だよ？ピンとくるよ」
「…あー…あの時ね」
言われて思い出す、初めて家の近くまで送ってもらった日。そのまま手帳見せて予定聞いて…大我を迎えに行った大学でチケット渡したんだった。その時にジェシーと樹とも初めて話したんだよな。そんなに遠くない話なのに、なんだかすごく懐かしい。
高「ライブなら喜んでいくよ。絶対空けておく」
「この日、ね、その…これからのこと、話すから。いろんな、バンドの大事なこと、話す予定だから…うん。来て、聞いてもらえたら嬉しい」
少し前向きな気持ちになったおかげで、小さな声でもスルスルと話せていた言葉が詰まってしまう。
そのライブの日にバンドの今後を話す、ということは私が止めることも話すわけで。もうそれに対してなにか突っかかることがあるわけじゃないけど、やっぱり本当は嫌なもんは嫌なもんで。その事実を感じるたびに心がぎゅっとして…。言葉に詰まる。
高「…うん。聞く」
「…うん。来てくれるの、待ってる」
高「だからさ、あー…うん。あの、嫌だったらいいんだけどね」
「うん？」
私と同じように、優吾くんが言葉に詰まる。気恥ずかしそうに首の後ろに触れたり頬を掻いたり。
なにか伝えたいことがあるというのは分かるから、少し黙ってその様子を見ながら待つ。
高「これから、バイト…の日、連絡を、くれたら嬉しい…んだけど…」
「…うん？それは…なんで？」
高「俺もバイトだったりとか予定が合えば、こうやって出かけて気分変えたりとか…家まで送ったりとか…出来たらなって」
気まずそうにいう言葉にたくさんのハテナが頭に浮かぶ。今みたいに出掛けられることは嬉しい。落ち着くし。でも、優吾くんだって疲れてるだろうに、申し訳ない気持ちになる。しかも、送ったりとかって…もっと申し訳ない。歩いて帰れる距離だし。
高「嫌ならいいんだけどね。…ただ、少しでもその……。楽に、なればいいなって。これからも、A、頑張ること多いだろうし」
「喉のことも、バンドのことも…あとは、」なんて小さい声で言葉を紡ぐ優吾くん。申し訳ない気持ちは大きい。でも、そんないい方されたら「嫌です」「申し訳ない」とは言い辛かった。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
