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『今度、聞きに行こ。なんか、できる道ないか』
大我の予想通り、断るなんて選択肢のなかった私は大我の目をみながらメモを切り離して渡した。できることなら、バンドに関わり続けたい、という意思表示として大我に持っててほしくて。
それが伝わったのか、嬉しそうにメモを受け取って「しまうからね？」といってポケットにしまう大我に「洗うなよ」という文字を見せれば「バカにすんな」なんて笑った。でも、大我ならやりそうだから、解散したら絶対また連絡しよう「洗うなよ」って。
その後はまた少しお店を見て回って、なんとなく解散の雰囲気になる。お互いの家に帰る分かれ道に来れば大我が一人で笑い出すから不審な目を向けてしまう。
京「俺ら、何やってたんだろうね」
『そうだね』
その言葉があのすれ違いのことを言っているのがすぐ分かって私も笑ってしまう。声を出したらすぐ「声出すな」って言われるから声が出そうになるのを堪えてクスクスと小さく笑う。
京「…発表するの次の次だよね」
『そーね。その日付、樹に大我に聞けって言ってたから教えてあげてね』
京「えー…。A言えばよかったじゃん」
『いいじゃん。大我の方が樹と仲いいでしょ』
京「…次の次が一個目の区切りだけど、今年中は全力で頼んだよ」
『わかってる。その為にこれ使ってんじゃん』
京「次までに喉治せよ」
『善処する』
京「ならよし。ならもう帰ろ。なんかもう疲れたわ」
『うん。またね』
京「ん。また。」
久々に顔を見て手を振って別れる。それだけで仲直り？できた事実を改めて感じられてなんだか胸のあたりがあったかくなった。
大我と別れて歩き出してすぐ、携帯が震える。取り出して画面をつければ、ついさっき名前の挙がった、今日もっとも感謝しなきゃいけない相手からのメッセージ。
樹『ごめんね。デート途中で帰って』
まだその設定生きてたんだ…。と半分呆れながら返事をウトウトすればもう一件入ってくる。
樹『これ、こーちの連絡先。あいつもいいって言ってたから送る』
続いてポンッと送られてくる連絡先に驚いてしまう。優吾くんに本当に聞いてくれたんだ。しかも、優吾くんも私に連絡先教えていいんだ。
驚きながらもとりあえず樹に今日一日の返信を打つ。
『こっちこそ別の男と楽しんじゃってごめん。仲直りできた』
『優吾くんの連絡先もありがと』
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
