sound 2 (ページ40)

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京「…こっわ」
　「？」
京「同じこと思ってた」

　『どっか買い物行かない？』そう書いたメモを見て目を丸くした後小さく笑った大我。いつもは言わないようなことを言う私に笑ったのか、ガラじゃ無さ過ぎて「こわ」なんて言ったのか。何もわからなくてハテナを浮かべていれば、綺麗な笑顔で頷くからほっとすると同時にここまでそろう思考に確かに「こっわ」と思ってしまう。

　樹と話してる時に言われた「やってみな」を実践しようと思った。それだけ。なんとなく、今日を逃したら二人で出掛けるなんてことを大我とするなんて、ない気がした。するなら、色々本音を話した今日。

　…といってもバンドから大きく離れることはできなかった。

　服を見れば「ライブで着れそう」みたいな話になるし、楽器屋、CDショップ。そんなところに行きたがってしまう。元々どちらも音楽好きなうえに同じバンド。もうこうなるのはしょうがないことなのかも。

京「…俺さぁ、考えてたんだけど」
　「？」
京「やっぱ、やめてほしくない」

　CDショップでCDを見ていた時、視線は棚に向けたままポソッと大我が呟いた。…どうにもならないこと言わないでよ。

京「お前いなくなったら、歌、どうすんの」
　『大我が歌ってよ。今までだって歌ったりしてたでしょ？』
京「…いよいよそれでもいい。でもさ、俺はやっぱりAがきっぱりいなくなるの、いや」
　『嫌って言ったって』
京「だから、Aが良かったら、裏方？でいいからいてほしい」
　『…と、いうと」
京「俺も細かく分かってて言ってるわけじゃない。どうにか俺らに関わっててくれる方法考えてたどり着いただけ」

　指先でCDを漁りながら真剣な声で言う。私が一切頭に思い描いていなかったもの。

京「今度、聞きにいこ。どうにか関わっていられる方法ないか」
　『私が断るとは思ってないの？』
京「断んない雰囲気で何言ってんの？」

　私のことをわかりきったように小さく笑いながら顔を見られる。

　…確かに、「そんな道があるかもしれないのか」と希望を見出した気分になっていた。

　歌えない。歌い続ければ、私の声で会話をすることが出来なくなる。だからもうやめるしかない。やめてきっぱり離れるしかない。

　そう思ってた。歌いたい。と思うかもしれない。でも、バンドと離れることがつらかった私からしたら、それは詳しくわからなくても希望でしかなかった。