sound 2 (ページ39)

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　全部、私の声のためだったということか？

　あの、全部話させるのも、らいぶのあとにジェシーとかに感想を聞きに行くのを嫌そうにしてたのも、スタッフさんと会話するのを嫌そうにしてたのも。全部私の喉を気にしていたと。

京「というか、お前、自分の喉悪いの分かっててどうして話さなきゃいけないバイト選んでんの?もっと他にもあるだろ。声使わなくていいやつが」

京「あとあれな。酒。どう考えてもお前向いてない。飲んだらすげー喋るし。声デカくなるし。次の日絶対後悔してんのに飲むから…呆れたわ」

京「それから…」

　大我がこんなに私の喉を気にしてくれたということを改めて強く実感して、驚いて言葉も出ないのに大我は次々に私に対する呆れ、みたいなものを伝えてくる。でも、その全部が優しいものに感じてしまう。だって全部、「私の喉のため」だもの。

　『そんなに気にしてくれるのに、連絡は見ないんだ』
京「…それ出してくんな」
　『過保護』
京「過保護とか言うな。…過保護だとしても、無駄だったけど」

　優しさがむずがゆくて、ちょっと恥ずかしくて。メモにちょっとチクッとくるような言い方で書けば気まずそうに返される。それにまた返せばまた返ってくる。

　もうお互い謝り合った後だし、いつまでもあんなむず痒いのは私達らしくないし…もう、いいよね？今まで通りみたいにしてみても。

　同じことを大我も思っていたようで、少しずつ今までみたいな軽口が増えていく。そうそう、突拍子もないし、自由過ぎるし。でもそれに慣れちゃってるからちょっとだけ、この感じが心地いい。

　何でもない話を二人でしていればデザートも食べ終わる。メインの話は済んだし長居をするのも失礼かもしれない。出よう、と提案しよう。

　…なんて思ったタイミングで私の脳内に会った言葉をそのまま口に出してくれるのは大我で。さすがの付き合いの長さというか…分かってるよなぁ。と思う。…となれば本当にさっきまでの気まずさが不思議になっちゃうんだけど。

　席を立ち、「払っちゃうから」といってくれた大我に会計を任せている間にメモに字を書いていく。

　いつもの私たちの感じだとこのまま解散になってしまう。だけど、今日はちょっと違う感じにいたい。

　会計が済み、店を出てから大我が私の方を振り返る。何か言おうと口を開いたのが見えたから「何か言われる前に」と急いで書いたメモを見せる。