検索窓
今日:7 hit、昨日:30 hit、合計:54,084 hit

85 ページ36

.


 私が気付いてすぐに大我の方も気付いたようで少し離れた距離からでも分かるくらいに眉を顰める。


 渋々といった表情でこちらに向かってくる大我と、席を立つ樹。



樹「頑張ってね」



 そう言って意外にも似合うウインクをかまして大我の方に向かう。手には荷物。…え!?どういうこと?


 通路で二人、何かを話して樹は出口へ、大我はこちらへ向かってくる。まさかとは思ったけどあの男、帰りやがったな。


 眉をひそめた、嫌そうな顔をした大我がさっきまで気がいた席に腰かけながらじろっと私を見る。



京「そーゆー恰好、初めて見た」
 「…え?そうだっけ?」
京「うん。いつもラフじゃん。…つーか、喋んなくていいから」



 樹と話していた時のような小さな声を出せば返答をしながらもしっかりと声を出すなと言われてしまう。



京「どーせならなんか食べよ。Aは食ったんでしょ?」
 「うん。オムライス食べた」
京「だから声出すなって」



 イラついてる時の声色で言われてしまい、口を閉じる。…質問をしてきたのはそっちじゃん。名て思いながらカバンからメモとペンを取り出す。


 パラパラとメニューをめくった大我はすぐにベルを押して、注文をしようとする。それに割り込んでメニューに載ってるデザートを指させば一緒に伝えて注文してくれた。


 来た時と変わらず嫌そうな表情を残しているくせに、なんというか、バンド関係で会う時よりも機嫌は良いような気がする。その理由が分からず、大我が何か話すわけでもなく黙って携帯を見ているので私も静かに理由を考える。


 …樹の言葉と今の状況。どう考えても仲直りするための機会を作ってくれたということ。大我だって状況は分かっているだろうに、なんというか、嫌そうではあるけど普通っていうのが…変。イラついてる声ではあるけど、なんか、怒ってるだけじゃない感じというか…詳しく分かんないけど、なんか、変。



京「なんでそんな変な顔してんだよ」



 まだちょっとの苛立ちを含めた声で言われ、思わず返答をしそうになるけど声を出したら怒られるのも分かっているから、出しておいたメモに文字を書いていく。


 そんな私に舌打ちしたの、聞こえてるからな。



 『変な顔って失礼な』
京「変な顔以外の表現ないくらい変」
 『変で言ったら大我もね。ここ最近で一番機嫌いい気がする。声はイラついてんのに』



 そう書いて見せれば本日二度目の舌打ちが聞こえた。

86→←84



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (125 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
353人がお気に入り
設定タグ:SixTONES , 高地優吾
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:天羽 | 作成日時:2022年11月30日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。