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北「随分今日はおしゃれじゃない？」
『そりゃ…これから予定あるし？』
北「そういう格好、初めて見た」
『確かにここ来るとき適当な服が多いかも』
北「いつもはすごくオフってことね」
１回、２回、３回…と、ライブを重ねた。宣言通りにかばいも何もしない、全力なやつ。喉は痛いし合間合間に咳がでる。全快の状態じゃないから音程も大外し。でも、やっぱり全力は気持ちがいいし、反応もいい気がした。
ただそれでも、あれ以来ちゃんと話せていない大我との距離は開いたまま。どうしたものか、と頭を悩ませながらライブと練習とバイトと大学を繰り返す毎日。
出来るだけライブの練習と本番。そしてバイト中。あとは最低限必要な会話以外は筆談にして日常生活は少しでも喉をいたわって生活をしていた。
今もそう。北斗くんのバイト先のドラッグストアで、前に教えてもらったよく効くのど飴を買おうとしていたところ話しかけられて急いでメモを出して筆談。この筆談にも慣れたみたいで気にしないで話してくれるのがありがたい。これは北斗くんだけでなく、みんな。…大我以外の。
北「予定って一人？」
『違う違う。人に会う。北斗くんも知ってる人』
北「…高地か」
『なんで。違う』
北「ジェシー？」
『違う。』
北「俺が知ってるおしゃれして会うような人…?」
その二人以外ない。みたいな反応なのはなんでよ。と思いながら一文字。字を書いて見せると目を丸くする。
北「樹…？」
『そう』
北「…なんで？」
『私も知りたいわ』
昨日の夜。バイト先に珍しく一人で現れた樹。いつもジェシーとか森本くんと一緒なのに本当に珍しい。と思いながら対応をしてればレジの終わり、もう商品を渡して終わりっていうタイミングで、「ねぇ、」と声をかけられた。
樹「デート、しよ」
「はぁ？…っ！」
樹「あー、ごめんごめん。そんな驚かすつもりはなくて。」
驚いてデカい声が出たと同時に咳が出た。腕を口に当てて数回咳をする。少し落ち着いたタイミングで腕を当てたまま深呼吸をして、とりあえず咳をおさめる。もう大丈夫、というタイミングで、腕を取って深呼吸するともう一度、「ごめんね」といわれる。落ち着くまで、黙って待っててくれたんだ。
「…思い返せば、初めて会ったときも似たようなこと言おうとしてたよね？」
知り合いだし、と無理しないで小さい声で返せばにんまり笑いながら「そうそう。」といった。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
