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 まぁ、見てりゃ分かるよねー。今のとこ俺に一切勝ち目ないってこと。

 
 でも俺、簡単に諦める気はないし。こーちが「笑っててほしい。その役目は自分がいい」って言ったけど俺も思ってるし!コーチも言ってたけどぜっったい俺の方が得意だからね!


 諦めない。けど、こーちのこともめちゃくちゃ応援してる。


 だから、こーちの気持ちを知ったけどそんな悲しい気持ちじゃないし、慎太郎がそんな顔する必要はないんだけど…まぁ、ちょっっっとだけ、嬉しいよね。そんな顔して心配してくれるんだって。


 まだちょっと切なそうに俺を見る慎太郎と目を合わせて、「作戦会議しよ!」と缶を傾けながら言うと何とも言えない疑問の声を出す。



ジ「こーちだけじゃないんだよね。A心配なの。心配だけじゃなくて同じ気持ち持っててさ、こーちにだけAに励ますような事させるわけなくない!?」


ジ「俺だってできることあるだろうし!逆に慎太郎だからってのもあるかも知んねーじゃん」


ジ「抜け駆けダメ!させない!」


 明るく言えば二人には意味が伝わったようで、「そうだな」といってくれる。慎太郎の顔も安心したように変わる。そ。大丈夫。勝ち目無くても俺の満足いくまで素直に諦めないから。あんな顔しなくても大丈夫。



高「ん−…なんか、俺からAの話、しちゃだめだと思うから…すげー濁す感じになるんだけどさ、ジェシーは今まで通りで絶対いいよ」
ジ「今まで通りでいいって?」
高「…今まで通り、ライブ行って感想言ってあげるだけで全然違うと思う。」


高「ジェシーは俺よりいっぱい行ってるし、音楽自体も好きで詳しいじゃん。そういう視点からの感想、すごい今大事だと思う。それがちょっと厳しい内容でも」



 …なんで。なんで励ますための作戦会議なのに、そんな悲しい顔するのか。


 自分の気持ちを言う時よりも、泣いてるAを見る時よりも。缶の飲み口を見つめながらなんでそんなに悲しそうにするのか。その悲しそうにする理由が、Aとこーちしか知らない内容からなのはすぐ分かったけど…。そんなに悲しくなっちゃうような内容なの?

 
 しかも、こんなの、ライブに関する事じゃん。それならもっと適任、いるはずじゃん。なのに、なんで、俺の感想?


 わからない。詳しくは全く分からないままだったけど「わかった」というしかなかった。


 そのまま作戦会議は進んでいったけど、どうしてモヤモヤが抜けきらなかった。

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作者名:天羽 | 作成日時:2022年11月30日 3時

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