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高「すごいね。すげー遠くまで見える」
「本当…遠くまで見えるねぇ」
見晴らしがいいから優吾くんの言う通り遠くまで見える。近くでは色々な明かりが煌々と光っているのに、遠くの方は車だろうか、動く灯りや小さな街灯？みたいなのは見えるが店の明かりのような集合は見えない。…あそこら辺まで行ったら静かなんだろうな。
車らしき動く光、まだ人が働いている証拠のビルの窓から見える灯り。ここからでも見えるパッと色の変わる信号。いつも何気なく見ている物も場所が変われば見え方が違うな。
なんて。そんなことを思いながら夜景を眺めていれば、ポンポンと肩を叩かれる感覚。優吾くん、何か話しかけてきてたの、気付かなかった？申し訳ない。
焦ってその方を見れば小さなペットボトルを持つ優吾くん。
高「ちょっとだけ冷えるからさ、どっちがいいかなーと思って」
「どっちがいい？」と見せてくるあったかいミルクティーとココアのペットボトル。私の返答を待ってるのが分かるから、正直に好きな方、ココアを手に取る。
「ありがと」
高「どーいたしまして。にしても山は少し冷えるね」
「…これ、どこで？」
受け取ったはいいけど、近くに自動販売機は見当たらない。それにここに来る間にどこかに寄ったわけでもないし、なんなら居酒屋を出てからずっと一緒だから、飲み物をいつの間に買っていたのか全く分からない。
高「バイク置いてきたとこ。あそこに自販機あったから」
「…え、いつの間に？」
高「今、だけど？」
「一回ここに来てから？」
高「…俺、“行ってくるね”って声、かけたんだけど」
「…うそ、ごめん。気付かなかった」
高「返事ないなーとは思ったけど、まさか気付いてなかったとは！まぁ、集中してみちゃうくらい綺麗だよね、この景色」
人も建物もない場所に響く優吾くんの笑い声。笑いながら転落防止だろう柵に少しよりかかって景色を見る。ペットボトルを両手で持つ感じ、なんか優吾くんっぽい。
同じように、また夜景の方を見ながらペットボトルで暖を取る。じんわりとあったかい感じが手から体中に染み渡る。
高「ここ、バイク仲間に教えてもらった場所でさ、昼には来たことあるんだけどすげーきれいで！」
高「夜に来てもきれいだろうなーって思ってたから…ごめんね、勝手に」
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
