sound 2 (ページ15)

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　バレたら迷惑をかける。そう思い、我慢しようとするけど、まぁそんな簡単には止まらない。だって自然に出てきたものだもの。しょうがない。だからせめてバレないように、「振り落とされないようにしっかり捕まっただけですよ」感を出しながら少しだけ腕に力を込めて、意外にも広い背中に頭を押しつけた。

　…というか、だいぶ走ってる気がするけど、そんなに家遠かったか？

　頭を押しつけたまま、目を閉じて少しでも涙をおさめようとする。そんなことをしているうちにバイクが止まった。信号で止まった、みたいな感じじゃなくて、完全にエンジンが停止。

　着いたのか？とまだ少しじわじわと涙が滲んでいるのを知らないふりして目を開けて頭を離す。それと同時に振り返る優吾くん。そういえば、あの言葉を最後に何も話してなかった。…もしや、気付いてた？

高「…えっと、申し訳ないんだけど、着いたってわけじゃなくて。…いや、着いたは着いたんだけど」

　はっきりとしない言い方。でも、言われなくても分かる。周りの景色、知らないもの。家の周りでもコンビニの近くでもない。

　でも、不安はない。優吾くんに限って誘拐的な、…そういうことは絶対ないだろうし、この先よくないことが起こる気がしない。

高「ちょっとだけ、着いてきて」

　とっくにバイクから降りてヘルメットを外してる優吾くんに倣う。街灯も少ない…山？木が多いし気温が低い、気がする。風がふけばカサカサと葉っぱがすれる音がする。

　私がヘルメットを置いたのを見ると歩き出す優吾くん。ついて行けばそれを確認してまた歩き出す。ちょっと今から起こることが分からな過ぎて、疑問を持ちながら動いているうちにいつの間にか涙は乾いていた。葉を動かす風がふくたびに頬の涙の後が乾く感覚がする。

高「本当は、早く帰してあげた方がいいんだろうけど…ちょっと、これだけ見たくて」

　歩きながら、優吾くんが見る方向を一緒に見る。そこにはキラキラと光る夜景。やっぱりここは山だったんだ。高さがあるからすごくきれいに見える。

高「もう少し先にもっと見晴らしいいところあるから」

　確かに今のところでは木が視界に入ってきて、綺麗に見えるけどそれは木の隙間から。もっときれいに見えるところがあるのか、と思ったら少しだけワクワクした。

　優吾くんの言う「見晴らしのいいところ」は本当にすぐのところだった。見える全てが街の明かりで輝いている。