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side.k
ゆっくり歩いて着いた駐車場でヘルメットを一つ、手渡す。受け取りながらも不思議な顔をするAに「乗せてく」とだけ言うと急に大きい声であわてだす。
「バイク！？私のるの！？え！？飲酒運転とかならない？…優吾くんは飲んでないから大丈夫なのか。いや、でも！」
高「大丈夫だから。それ被って捕まってくれればいいから」
「大変じゃない？人乗せるの？私やっぱり…」
高「いいから。ほら」
先にヘルメットを被ったり、と準備を始めればAも渋々とヘルメットを被る。
高「…迷惑、だった？」
「ん？」
高「ちょっと強引、だったかなって思って。バイクが怖いとか、すげー嫌とかなら…」
「そう言う訳じゃなくて！迷惑かなっていうのはこっちっていうか…乗せてもらうのも悪いし、私、めんどくさいタイプの酔っぱらい、らしいじゃん？」
思わず目をパチパチと大きく瞬きしてしまう。いや、確かに「めんどくさい酔っぱらいになるタイプ？」とは言ったけど…まさか、それ気にしてた？
高「俺がしたいことだから気にしないで。めんどくさくても大丈夫だから。ほら、後ろのって」
気にしてたことにちょっとだけかわいい…と思いながらも否定はしない。めんどくさい酔っぱらいっぽいことには変わりないし。
俺が否定をしなかったことがまた引っかかってるのか口を少しとがらせてるA。それでも促した通りに後ろに乗っかる。観念したな。
高「ここ、捕まってて」
「…え」
高「…そんな反応されると、こっちも戸惑うから」
「…ごめん、失礼します」
よくあるやつ。ぐるっと俺の体に手を回すように言えばわかりやすく戸惑うA。人を後ろに乗せる時はいつも普通にこの指示を出してたから何も思わず出したけど、やっぱ異性だと違うもんか。戸惑って正解なんだけど…その反応で俺までつられるからちょっと勘弁してほしい。
つられちゃったせいで、緩く巻かれた腕が細いこととか、それによって背中にくっつく酔っぱらいのあったかい体温とか。なんかそういうもの色々考えちゃって。
違う。今は普通に送るために乗せてるんだから。酔っぱらいの一人で帰すには心配な知り合い？友人？を送るため。
頭を軽く振って、エンジンをかける。いつも通りの軽快で、でも低い落ち着く音が聞こえると変なことを考える頭も落ち着く。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
