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話を聞くことはできる。とか、話した方が楽になる。みたいな。つい最近似たようなことをジェシーに言われたばかりだったから思わず目をパチクリとしてしまう。それに気付かず樹はまだ口を動かす。
樹「あー、俺じゃあれだったら高地とかは？あいつ話聞くの上手いし。俺とかより気ぃ許せるんじゃない？」
そう言われてまた目をパチクリとしてしまう。
その人、ほぼ全部知ってるんだよ。だって話したもん。
何となく本人はあまり気にしないかもしれないけど、「樹には言えないけどもう優吾くんにはほとんど話してる」と伝えるのはためらわれて、まだ私が驚いていることに気付いてない樹に「ならさー」と声をかける。
「優吾くんの連絡先、教えて」
樹「…え」
「連絡先…あっちに聞いて嫌じゃなかったら知りたいなー…と思ったんだけど…」
ずっとパスタに向けていた視線を勢いよくあげて不思議そうな顔をするからちょっとずつ自分の言ったことに自信がなくなってくる。
…いや、樹の言う通り。そして、実体験的に。優吾くんに話すことでの落ち着きがすごいのは分かってるから、優吾くんさえ嫌じゃなかったら、何かあったときの頼りとして、気持ちの安定として、電話とか、したいなー。と思っていたから、優吾くんの友だちから「あの人に話したら？」みたいに言われたら実行するチャンスと思っちゃって…。
だから聞いてみたのに、そんな顔する？
自信がなくなってきて、残りも少なくなってきたオムライスの方に視線を移す。
「ダメならいいの。…タイミングがあれば、自分で、聞くし。教えてもらえなかったらそれでも、いいし…」
オムライスをスプーンにのせながらポツポツ話せば「いや、ちがくて」とさっきの顔のままだろう。不思議そうな声で言われる。
樹「まだ連絡先の交換もしてないの？」
「してない…。する機会もなかったし、バイト先で会うから…そんなに必要って感じなかったというか」
樹「…今は必要ってこと？」
「ん−…まぁ、そういうこと？」
ずっと不思議そうな顔をしていた樹がニヤッと笑う。うわ、なんか、悪い顔。
樹「いーよ。聞いとく」
悪い顔のまま携帯をいじりだす樹。もう聞いてくれてるのかな。悪い顔の意味は気になるけどありがたい。
「ありがと。ダメだったらいいから」
樹「大丈夫。ぜってーダメじゃないから」
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
