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ちょっとの恥ずかしさを誤魔化すためにココアを飲み込む。甘さが広がる感じがまた落ち着く…。ような、甘いのが酔ってる身体にちょっと重いような…。
高「そんなんでよければいくらでも」
私の恥ずかしさなんて全く知らない優吾くんはサラッと言う。でもそのサラッとした感じがまた優吾くんッぽくて落ち着く感じがするという…。この人、マイナスイオンでも出てんのかな。
高「…少しは落ち着きました？…色々、と」
柵に腕を乗せて、そこに頭を乗せながら私を見る優吾くん。その位置は私の目線よりも下、だから上目遣いというか、珍しく優吾くんが私を見上げるような、うかがうような感じになっていて、なんか新鮮。
ここに来るまでの間、優吾くんからの言葉と、吐き出したことで自分の状況を余計に深く知ったことで涙が止まらなくなっていた私だったが、きれいな景色と温かい飲み物の温度。そしてまた優吾くんの言葉で、気持ちが落ち着いた。
そして、大我に伝えることと引き換え？にまたここにバイクで連れてきてもらえることが決まった。そのおかげで、少し、頑張れるような気がする。
優吾くんの目を見ながら頷く。そうすればニッと可愛らしさのある笑顔を浮かべて、起き上がって背伸びをする。
高「それなら帰りますか！」
「はい。お願いします！」
高「とりあえず、下がろうか」
山を少し下ってバイクを置いていた場所に向けて歩き出す。上ったときは「夜景が良く見える場所とは？」とそれを気にしてそっちしか見ていなかったけど、気持ちも落ち着いて、夜景にも満足した今、なんとなく、上を見ればさっきの夜景のように星空が輝いているのに気付いた。
「優吾くん」
高「んー？」
「上」
高「上？…あぁ、星ね。すごいねー」
「夜景もきれいで、上見てもきれいで…本当にすごいとこ」
上を向いて歩きながら言えば「足元も気つけてね」なんて言う。気遣いがすごい。…気遣いは凄いんだけど、星空への感動、ちょっと薄めじゃない？
高「俺さー、夜にバイク走らせんの結構好きで。星空、綺麗に見えるとこも色々知ってんの」
「へー…。…今度さ、」
高「今度、ここじゃない別なとこも連れてってあげる。星、綺麗に見えるとこ」
「今度連れてって」って言おうとしたのを遮って誘ってくれる。同じようなことを思っていた嬉しさもあり勢いよく頷けばまた優吾くんが可愛らしい笑顔で笑った。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
