90 ページ41
.
ずんずん進む二人に引っ張られて体育館の裏の方へ。朝練をしてる部活もなく、とても静かだった。
樹「慎太郎となんかあった？」
いつまでも泣いていても迷惑だってわかってる。けど拭っても拭っても出てくる涙を抑えながら頷く。それだけ確認すると樹がゆっくりと背中をさすってくれる。そのおかげか、時間が経ったからか、少しずつ涙がおさまっていく。
京「…正直さ、俺らこういう役目じゃないじゃん？」
ふと、京本君がそんなことを言う。こういう役目じゃないって何。というか役目って？
京「だからさ、適役、呼んだから。Aの慎太郎関係のことなら一番の奴いるじゃん？」
「別に、いいのに」
京「急に泣き出す奴ほっとけないけど、俺らじゃ無理だし。ね、樹」
樹「だな。…場所も伝えた？」
京「…今伝える」
それから数分、特に訳も聞かず傍にいてくれた二人が急に立ち上った。びっくりしてその顔を見れば樹がポンポンと軽く私の頭を叩く。
樹「どうせその顔じゃ教室行けないだろ。…ここいな。すぐ来るから」
それは樹たちなのか、それともさっき言ってた適役さんなのか。それはわからなかったけど、歩いていく二人を見送る。一人になって余計静かになった。静かになればすぐ頭に浮かぶのは慎太郎のことで。色んなことが浮かんで、また涙がにじむ。
グシグシと涙が落ちないように目をこする。その腕が誰かにつかまれる。それと同時に一時間目が始まる鐘が鳴る。
ジ「ね、目、赤くなるって」
息の上がったジェシー。一瞬どういうことか、と思ったがもしや、京本君が言ってた適役ってジェシーのこと？
ジ「大我の説明わけわかんないんだもん。こんな端だとは」
確信。京本君の言ってた適役はジェシーだったんだ。私がなにも言葉を発せずにいれば隣に座って、いつものように髪に手を伸ばす。その手が一瞬戸惑ったように動いたような気がしたが、そのまま伸びて髪を梳く。
ジ「緊急事態。Aが泣いてる。俺と樹じゃ無理だから来て。…って最初送られてきた時どうしようかと思った。今日いつもよりちょっと遅くなってたから、すぐにはいけないし…っていうか、大我たちじゃ無理ってことないのにね」
無理ってことはない。二人がいる時にも落ち着いたから。でも、それ以上に今のほうが落ち着くし、そのせいでまた涙が出てきてしまうのはジェシーという存在感の安心感からなのか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1185人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまは(プロフ) - よしのさん» 最高だなんて…ありがとうございます！もう少しで完結の予定ですが、それまでお付き合いいただけたら嬉しいです！ (2021年12月20日 0時) (
レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
よしの(プロフ) - シンプルに最高な作品に出会ってしまいました！！！ありがとうございます＾＾お身体ご自愛ください！ (2021年12月17日 11時) (レス) @page45 id: 2f2270aaf2 (このIDを非表示/違反報告)
あまは(プロフ) - hohoさん» 私もしばらく前に学生生活を終了した身なので記憶を引っ張りながらですが、そう思っていただけてすごくうれしいです！こんな作品ですが癒しになっているなら幸いです(笑)育児がんばってください！ (2021年12月16日 1時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
hoho(プロフ) - きゅんきゅんを何処かに置いてきた私の癒しです笑。こんな高校生活送りたかったー！って思いながら育児頑張ります( ^ω^ ) (2021年12月15日 18時) (レス) id: 80be9b38a5 (このIDを非表示/違反報告)
天羽(プロフ) - ありありさん» 凄く嬉しいコメントありがとうございます！！すごく励みになります！また書きたいお話はあるのでしばらく後になってしまうかと思いますがジェシー落ちは書く予定ですので気長に待ってもらえたら嬉しいです！！ (2021年12月15日 14時) (レス) id: 13830d60cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天羽
| 作成日時：2021年11月7日 2時
