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 「おはようございます…」



 目をこすりながらもぞもぞと動き私の方を見る。



樹「…服、気付いた?」
 「気付いた、というか…あったから借りちゃった。ねぇ、私の服ってどこにあるの?」
樹「濡れてたから、洗濯して干した…。乾いたかな」



 ぐっと伸びながらベットから出て行く樹さんについて行こうと私もベットから出る。



樹「…そーゆーのいいね」
 「はい?」
樹「服のサイズ感っていうの?男物着てるオーバーサイズ感?俺好き」
 「…あ、そう。」



 ジーッと私を見てそんなことを言ったあと、何事もなかったかのように歩き出す。あぁいうのサラッと言えちゃうんだ。…まぁ、バーで私を誘うときに言葉とかも「よく言えるな」って感じのだったし、やっぱりそういう人なんだろうな。



樹「…もうちょっと乾かすか。外のが早いと思うから外出すよ?」
 「ん。お願いします」
樹「そこ座ってて」



 ベランダに私の服を乾かしに行く樹くん。座っててと指定されたソファの足元には私のカバン。…ここでお酒飲んで、そうして。昨日のことを思い出しそうになりブンブンと頭を振って誤魔化し、何も気にしてないふりをして座った。



樹「…あー、コーヒーとココア、どっち飲む?」



 いつの間にか干し終わっていた樹くんがキッチンから声をかけてくれる。なんとなく体が甘いものを欲していて、聞こえるように「ココア」と返す。


 少しすればココアとコーヒーを持った樹くんが隣に座る。ココアの方を私の方に置いて自分はコーヒーを飲み始める。それに続いて私もココアを飲む。あったかいココアの甘さが沁みるようだった。



樹「体、大丈夫?」
 「あー…二日酔いって感じ。頭がちょっと」
樹「あんなに呑むから…。ってか昨日のこと覚えてんの?」
 「……覚えてる」
樹「ふはっ、記憶残るタイプね」



 カップを持っていない方の手で少し乱雑に撫でられる。


 撫でられているから、というよりも、昨日自分たちがしたことを思い出し顔に熱が集まるのを感じた。



樹「そういえば、これ」
 「…なんで」
樹「なんでってことある?」



 私の頭から手が離れ、その手が携帯を持つ。そして表示された画面。読み込んだら連絡先追加できるやつ。



樹「この先どうなるかは置いといて、せっかく仲良くなったんだよ?一応交換しとこうよ」
 「……」
樹「昨日みたいなことじゃなくてもさ、ご飯行くだけとか。俺、普通にAちゃんと仲良くなりたいの」

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作者名:天羽 | 作成日時:2022年6月15日 2時

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