aversion 2 (ページ49)

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　「どっち行くの？」ってジェシーに聞かれたから私は駅の方を指さした。もう用事もないし帰るし。「俺らもこっち行く予定だったしー」なんて3人で同じ方向に向かって歩く。

森「そうだ！」
　「声でっか…なに」
森「写真撮ろ！」
　「なんで」
森「記念記念。写真残しときたいなって思って」

　「レアだし、今日」なんて続けながら携帯を操作する。今まで休みの日に会ったことがなかっただけで、そんなにレアなもんじゃないと思うけど…。これからだって予定立てたりしたら全然休みの日にも会うのに…。

ジ「ほら、A寄って！」

　内カメにして身を寄せ合う二人の中に混ざる。少し上を見上げる形になって、それが「カシャ」という音と共に写真として残る。

森「今送るねー。あとこれ、載せていい？」
　「…いい、けど」
森「了解！ありがとー！」
ジ「俺には許可取んないの！？」
森「ジェシーどうせいいって言うじゃん」

　話している間に震える携帯。そこに届いたのは今撮ったばかりの写真。

　3人でまとまりながら私服で笑って映ってる写真。…あんまり自分から写真を撮る派ではないからこういうのを見ていると不思議な気持ちになる。でも、なんというか、ちょっとクサいけど“青春”、みたいな。そんな感じがして、写真に残すっていうのも悪くないな、なんて思いながら保存した。

森「あ、ごめん」

　改めて歩き始めてすぐ、慎太郎くんが携帯を耳に当てる。電話か。

　その邪魔にならないように少し控えた声でジェシーと話をする。多分明日には覚えてないようなしょうもない話を。

　そのまま歩いていれば私が曲がらなければならないところに来た。一人で過ごす予定だったし、この2人に会った最初は“今日会うのは気分じゃない”とか思ったけど、何だかんだ楽しかったからちょっとだけ寂しいような、そんな気持ちになる。

　「ジェシー」
ジ「ん－？」
　「私、ここ曲がらないとだから」
ジ「あ、そうなの？俺らはまだこっち行くから、また学校で。だね」
　「そーだね。…慎太郎くんに声かけても大丈夫かな」
ジ「大丈夫じゃない？真面目な感じじゃないし」

　帰るタイミングだし一言かけよう、と慎太郎くんの方を見れば、ジェシーの言う通り、電話はしているけど真面目な感じではなく、ゲラゲラと笑って砕けた口調で話していた。でも、その相手がだれか分からないし、邪魔しちゃ悪いから、まず肩を小さく叩いた。