aversion 2 (ページ46)

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　「おいしっ…！」
ジ「よかったねぇ」

　適当に歩いて見つけたカフェに3人で入って、飲み物とケーキを注文して、ちゃんと店の中に合わせた音量で話す。そうしていれば届いたケーキを食べれば言う気がなくても感想が漏れる。

森「Aちゃんのなんだっけ？」
　「アップルパイ」
森「シナモン入ってる？」
　「しっかりと。苦手？」
森「んー別に？匂いしたから聞いただけ」

　アップルパイとミルクティー。シナモンの感じと林檎の感じとミルクティーの感じが合うというか…。しょうがなく来たけど、まさかこんなにおいしいのが食べられるなんて。

　「ありがとね、ジェシー」
ジ「いーえ！やっとお礼出来て俺もすっきりだし！」

　ジェシーも森本くんもケーキを食べながらいつも通りのテンションで話し続ける。

ジ「そーいえばさ、最近部活で樹の調子がいいのよ」
　「休みの日まで聞きたくない名前だなー」
ジ「そんなこと言うなって！で、なんで？って聞いたらなんて言ったと思う？」
森「えー…“いつもだけど？”とか？」
　「それはうざすぎじゃない？」
ジ「最近Aちゃんがちょっと柔らかいから。…だって！」
　「なにそれー…」

　効果があった。大成功だった。文化祭の日のステージ上での事件もその後、いろんな人に話して回ったという田中くんの行動も全部。

　そのおかげで最初こそ前と変わらず面白がるような目で見られたり知らない人にまで話しかけられて田中くんとのことを色々聞かれたりしたけど、すぐに収まって、今では全く気にされないというか、田中くんが私に絡んできても「あぁ、今日もやってるな」くらいになった。一部の女子は違うけど。

　…だから、まぁ、許した。というか。で、後夜祭の時にも思ったけど、色々と助けられてるところもあるし？少しだけ、受け入れてもいいかな、と。嫌いなままではあるけど、前よりは少しだけちゃんと話してもいいかな、くらいには思えてきていて…。多分それ、柔らかいって。

　「前、よりは話聞いてあげてもいいかな、とか思ってるけど…そんな部活に影響するまでかぁ？」
森「影響は分かんないけど、確かに前よりちゃんと話してるよねー…なんで？」
　「なんでって…まぁ、色々あったんだよ色々。というか、こんだけ絡まれたらこっちの諦めてくるというか」

　文化祭の時とか、後夜祭の時の心境とかの説明が面倒でちょっと誤魔化しながら話せば「ふーん」なんて緩い返事が返ってきた。