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「よくないっていったらどうすんの？話聞くって言ってんだから早くして」
こんなとこに連れてきて、「話聞く」って言ってんのにまどろっこしい言い方をするところにイラッとしてしまう。…まぁ、それくらい今回のこと気にしてるんだな、とも思うけど。
樹「確かにそうだね」
「だから、早くして」
樹「…俺が、昨日中庭でAちゃんに告白したじゃん？あの内容は何一つ嘘じゃないの」
私が急かすと落ち着いた声で話しだす。
樹「本気なのを証明したかったのも本当。それは、Aちゃんに対してのほかに、周りの人にも、なんだよね」
樹「Aちゃんのこと好きになってさ、色々アピールしてたけど、どうしても友達に色々言われんだよね。“冗談でしょ？”とか“次の狙いはあの子？”とか“いつまでやんの？どこがいいの？”とか。簡単に言えばAちゃんにちょっかいかけて遊んでる、と思われてて……まぁ、俺の今までの行動のせいなんだけどさ」
田中くんが言われたらしい言葉、高地くんの話してたことも考えると、面白がるような、私にちょっかいかけてることを馬鹿にするような言い方をされたのかな、なんて予想する。
俺の今までの行動のせいって、当たり前だよ。これまでのかかわりが薄い私でも来るもの拒まずだったこととか、彼女が絶えないことを知ってるくらいだったんだもん。そりゃ、周りの人が色々言いたくなるのも分かる。
樹「俺の本気が伝われば、その言われるのも減って…。俺が、Aちゃんにアピールしやすい環境を作れるんじゃないかって思った。そして、Aちゃんに向いてた視線だって減ると思った。本気だって分かってもらったら、そっとしてもらえると思った」
樹「まぁ、その考えが間違ってたんだけどね」
自嘲気味に笑う。
本当に自分勝手な人。自分がやりやすい環境を作るためって。私に向いてた視線のことも気付いてて気にしてくれてたみたいだけど、それ以上に聞き逃せない言葉。
樹「あれのせいで余計面白がられて、Aちゃんがあんなふうな目で見られると思わなかった。ああいうの好きじゃないでしょ？わかってたし回避したかったのに…ごめんね」
樹「しかも今日なんて、なんかトラブってたじゃん。…俺、聞こえてたんだけど、だいぶ色々言われてたじゃん？あの子的には“俺のため”みたいに言ってたけど…あんなのAちゃんが一番思ってるよね」
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年5月12日 2時
