aversion 2 (ページ17)

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　そう森本くんに聞いてみればキョトンとした顔をしてから小さく笑う。

森「なんでそんなこと俺に聞くの？」
　「あなたが田中くんが私のこと探してるって知ってるからでしょ」
森「そうじゃなくて、なんでか、なんてわかってるでしょ？」

　目を見ながら言われる。…そりゃ、いつもの感じを考えたらあいつが何のために私のとこに来るか、なんてなんとなくわかる。でも、それを考えていることが自意識過剰のようで、第三者からの言葉が欲しかったのに。

森「ま、来たら相手してあげて」
　「嫌だよ」
森「そういっていつも相手してあげてるくせに」
　「…してない」
森「あ！あとさ、樹に伝言お願いしていい？」
　「伝言？」

　私の横にしゃがんでいた森本くんが立ち上がったからもう行くのか、と思ったのに、伝言なんて…。今から歩くだろうに、自分で伝えればいいんじゃない？

　そんなことを考えてる間に森本くんはにっこりと笑う。

森「俺の方が先にここに来たこと、伝えといて」
　「…なんでそんなこと伝えなきゃいけないの」
森「いいからいいから！んじゃーね！焼きそば、買いに来てね！」

　なんで？と頭を疑問符でいっぱいにしている間に着ぐるみのまま森本くんが走っていく。「焼きそばでーす！」なんて声を響かせながら。

　「なんて、本当に大変そうだね」
　「…ほんとに困ったもんだよ」

　隣に座ってい一緒に監視をしていた友達に言われる。そうなんだって、大変なんだって。困ってんだって。田中くん周りのことには。

　ため息を吐いた私を見て面白がる様子を少し見せながら励ましてくれた友だち。その友達に田中くんに絡まれることの大変さの愚痴を言いながら、たまーに展示を見に来る人に挨拶をする。

　「ちょっとトイレ行ってくる」
　「ん。いってら」

　誰も展示を見ていない隙に友達がトイレに行く。それを見送って、ふぅと息を吐く。ただ座って、見て、挨拶をして、友達と話しているだけ。でも、やっぱり文化祭の雰囲気というか、一般の意図もいるという空気感のせいか、すごく疲れる。

　もう一度息を吐いてグッと伸びをする。天井を見上げるように背をそらす。

樹「おつかれ」
　「…でた」
樹「出たってひどい言い方」

　小さく笑いながら私の横にしゃがみこむ田中くん。疲れはしていたけどゆったり過ごしてたのに、一気に崩れたような気がした。