・ ページ3
.
授業をする先生の声なんか耳に入らない。それをBGMにAの席を眺め続ける。“寂しい”そう思うと同時に、俺の後悔が顔を出す。
俺があの時、体育館裏じゃなきゃいけない理由をちゃんと聞いておけば、
俺があの時、隠れたりしないで素直にその場で待ってれば、
俺があの時、イヤホンなんてしないでちゃんと周りの音を聞いていれば、
あの日、雪なんて積もっていなければ、
俺が、Aが女子に色々と言われてることに気付いていれば、
あの日、その前、色々な場面に後悔が残っている。いまさら後悔したって遅いのなんてわかってるけど。
「森本！」
近くで先生の大きな声がしてビクッと体がはねる。Aの席から視線を外して先生を見る。
「…ちゃんと授業受けろ」
声に力は入っている。けど表情は複雑そうで、俺が何を思っていたのか分かっているようだった。
森「…はーい」
返事をする。けど、その声が自分の声のみで、それも寂しくなってしまった。先生に呼ばれる時は大抵Aの名前も一緒だった。だから返事も二つだったのに。なんなら幼馴染の似たリズム感からか同時に返事をする、なんてことも多かったのに。
隣にAはいないし、声もない。それを実感してまた寂しくなってしまい、誰もいない隣の席をもう一度眺めた。
そんな俺をジェシーはいつも心配してくれた。「大丈夫？」なんてことを声に出すわけでなく、今まで以上に一緒にいることが増えた。そんな優しさが心地よかった。
Aが眠ってしばらく経った頃、ジェシーに一度だけ聞いたことがある。
森「ジェシー？」
ジ「ん−？」
森「あの日、なんでお前あそこに来たの？」
ずっと気になっていたこと。あの日、反応のないAを呼び続けていた時、なぜかあの場に現れたジェシー。荒れにはすごく助けられたが、なぜあんなにタイミング良く来たのか、それが気になっていた。
ジ「そりゃー、気になったからだよ。2人で体育館なんて、絶対に何かあるじゃん！」
いつも通りのヘラヘラした感じで笑い声を交えながら言う。言っていることは本当なのかもしれない。でも、絶対おかしいんだよ。
森「ジェシーって、そんな野次馬みたいなことするっけ？」
あんな寒い日にわざわざあんな場所に行くか？気になっただけで。気になったなら後から聞けばいいものを。特別、野次馬根性凄いってやつでもないのに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 296人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蝶-アゲハ-(プロフ) - はじめまして！先日このお話に出会い今までにない話の展開で面白くて読ませていただいておりました。少し前に完結されてましたが更新されていたので思わずコメントしちゃいました、、今後の作品も楽しみにしてます！失礼します！ (2022年7月11日 20時) (
レス) @page28 id: baea928cde (このIDを非表示/違反報告)
天羽(プロフ) - ナナさん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて飛び跳ねました(笑)主人公ちゃんが起きたこと嬉しいと言っていただけてなんだかうれしかったです！本当に残り数話というところですが、残りもお付き合いいただけたら嬉しいです！よろしくお願いします！ (2022年4月2日 3時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - はぁ！主人公ちゃん起きてよかったぁ！嬉しい!!この後どうなるんでしょうか…？全部聞こえてたのかな？ミステリー（？）要素もあり、キュンキュンもありですごく面白いです！更新ありがとうございます!! (2022年4月1日 1時) (レス) @page10 id: 09b5d0a08f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天羽
| 作成日時：2022年3月23日 2時
