・ ページ18
.
「ねぇねぇ、」
森「なんだよ」
「私、今ならあの日言おうとしたこと言えるわ」
急にそんなことを言うから次は俺がAの方を向く番。いつの間にか星が流れる夜空に目を向けていたA。穏やかな顔をしている。
森「なら、教えてよ」
「好きだよ、って言いたかった。」
森「……え？」
急にAの口からAの声で聞こえてきた言葉に驚いていれば、穏やかな顔で微笑みながら、ゆっくりとAが俺の方を向く。「だから、」と優しい声で言う。
「慎ちゃんのこと、好きだよって」
森「それは、…どういう、」
「ちゃんと恋愛的な意味として。いっつも一緒にふざけてたから、真剣だって伝えるにはいつもと違うことした方いいかなって、体育館裏に呼び出したの。」
穏やかな微笑みから照れの混ざった笑顔に変わる。
あの日、一瞬よぎったあの考えは合っていたのか。
森「でも、お前…え！？樹は！？」
「樹先輩？」
森「明らかに樹のこと好きだったじゃん！」
「違うけど？樹先輩のことは好きというか…憧れ？ていうか、あの人の感じ、女子は一回勘違いするし通る道だよ。例にもれず私も一瞬通っただけ。」
森「一瞬通っただけ…」
そんなことあるのか…。なんて思っていれば、目の前の表情が少し変わる。また、眉が下がる。
「別に、今更返事が欲しいとかじゃないから。あの日言いたかったことを言っただけ。」
「慎ちゃん、私が寝てる間に彼女だって出来ただろうし、…7年も寝てた子どもっぽいやつなんて相手にもならないでしょ。だから、気にしないで」
少し間をあけながら続けて言った言葉。合わせていた視線がどんどんそれていく。
なんだよ。今の言い方。
森「…俺、今、彼女いないよ」
「そうなんだ。…今ってことは今までいたの？どんな子？」
わざとらしく明るい声を出す。…表情といい声といい、本当にAはわかりやすい。さっき言ったこと、全部嘘じゃん。
森「みんないい子だった、と思う。けど、どうしてもAがよぎってしょうがなくて、長く続かなかった」
「うわ、迷惑かけたね」
森「迷惑じゃない。お前が起きた今、それでよかったって思う。…A」
真剣な声で名前を呼べば、悲しそうな表情のまま俺の方を向く。声だけ元気ぶって「なーに？」なんて言いながら。そんな顔しなくていいのに。
森「俺も好きだよ、Aのこと。あの頃からずっと」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 296人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蝶-アゲハ-(プロフ) - はじめまして！先日このお話に出会い今までにない話の展開で面白くて読ませていただいておりました。少し前に完結されてましたが更新されていたので思わずコメントしちゃいました、、今後の作品も楽しみにしてます！失礼します！ (2022年7月11日 20時) (
レス) @page28 id: baea928cde (このIDを非表示/違反報告)
天羽(プロフ) - ナナさん» コメントありがとうございます！嬉しすぎて飛び跳ねました(笑)主人公ちゃんが起きたこと嬉しいと言っていただけてなんだかうれしかったです！本当に残り数話というところですが、残りもお付き合いいただけたら嬉しいです！よろしくお願いします！ (2022年4月2日 3時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
ナナ(プロフ) - はぁ！主人公ちゃん起きてよかったぁ！嬉しい!!この後どうなるんでしょうか…？全部聞こえてたのかな？ミステリー（？）要素もあり、キュンキュンもありですごく面白いです！更新ありがとうございます!! (2022年4月1日 1時) (レス) @page10 id: 09b5d0a08f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天羽
| 作成日時：2022年3月23日 2時
