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「なんで」と頭にハテナを浮かべる。イラつきよりも勝ったそれに少し力が抜けた。力が抜けた私とは反対に慎太郎は余計機嫌が悪く…苛立ったようで、壁に背中を預けていたが起き上がり一歩ずつ近づいてくる。…さすがにちょっとビビってあとずさりをしてしまう。今度は私が壁に背を預ける番。
森「…結局、樹と行ったんだ」
「偶然会ったから、」
森「それで色違いのストラップ買って、俺に置いてかれたら樹と一緒に来て…それに、」
苛立ったように、まくしたてるように言う慎太郎。なのにふと、言葉が詰まる、続きがあるようなところで終わったから、先を少し待つ。それでも、出てこない。
「…しんたろ、?」
森「…、それに、俺見た。昨日の夕方、樹がAのこと家まで送ってるとこ。…それに、壁ドンされてるとこ」
「…え、」
少し力を込めて言われたその言葉に驚いてしまう。
「…送ってもらったのは事実だけど、壁ドンって…違うよ?あれは、樹がよろけてそういう風になっただけで、」
弁解したかった。慎太郎にその勘違いをされてるのが嫌で、違うって理解してほしくて。
森「なら、なんで赤くなってんの?」
余計に熱が集まるのが分かる。…慎太郎の口から壁ドンって出た瞬間から、昨日樹が言った「慎太郎だったら」っていうのがよぎって、体温は上がっていた。
赤いのは樹のことでではない、と否定したかったが余計なことまで言いそうで言葉が出ない。それが余計ダメだったみたい。一歩慎太郎が大きく踏みだす。そのまま手は私の横に、…昨日、樹がしたような壁ドンの体勢になる。そして、顔が近づいてくる。
森「よろけてこんな体勢なる?こうやって顔近づけられて、遠くから見ても分かるくらい真っ赤だったくせに、付き合ってないっていうの?嘘つくなよ」
…本当なら、浮かれるところだ。好きな人に壁ドンされて、近づかれて、囁くように話をされて。でも、全く嬉しくない。慎太郎の言葉に体温が下がった。顔の赤さだって引いただろう。悲しい。好きな人…叶わない相手だとしても、勘違いされて、冷たい声で話されて、
顔が下がる。自分の足元が滲む。なんで?こんな勘違いなかったら水族館の話して、イルカのビリビリやって、いつも通りに話してたはずなのに。
森「っ!?」
頬に力を込めてビンタをしてしまった。バチンとすごい音がしたし、悲しみが苛立ちに変化してどうしようもなくなってしまった。
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あまは(プロフ) - ありありさん» コメントありがとうございます!ドキドキしていただけてうれしいです!!話も更新ペースもゆっくりかとは思いますが、頑張ります! (2021年11月4日 2時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
ありあり(プロフ) - もうドキドキが止まらなく、すぐにお気に入り登録いたしました!作者様の文才すごい!更新楽しみにしてます!応援しております! (2021年11月3日 18時) (レス) id: 991e71cbdc (このIDを非表示/違反報告)
あまは(プロフ) - かなさん» そう言っていただけてすごくうれしいです!ありがとうございます!ゆっくりになるかとは思いますが、頑張ります!! (2021年10月23日 1時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 素敵な作品を見つけてしまった……!更新楽しみにしてます!頑張ってください^ ^ (2021年10月21日 23時) (レス) id: a4d97af994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天羽 | 作成日時:2021年10月8日 3時