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季節は夏になり、体育祭の日になった。体育祭と言いながらも普通の運動会のような、玉入れだリレーだなんて盛り上がっているが私みたいなのは大人数競技にチョロッと出るだけ。
「すごいなー…」
暑すぎてクラスの応援席から抜け出して、校庭の隅の方の木陰に移動して徒競走が行われている校庭を眺める。
わーっと盛り上がるのが聞こえる。…あ、高地君だ。多分勝ったのかな。ジェシーが勢いよく高地君のところに向かうのが見える。その傍らで笑う北斗。…こういうイベントだとよく女の子たちが盛り上がってるけど、3人の名前もよく聞いたな。あと、もちろん京本君も出てきてたし慎太郎に樹も…って、私、とんでもないメンバーと知り合いなのでは?
女子の恨みだけ買わないようにしよう。
応援席のほうを見て置いてきてしまった花を探せば、私がいなくなることにも慣れてしまったのか気にすることなく、トラックの中にいる慎太郎を見ていた。
自覚をしたあの日から、突然何かが変わった。ということはなかった。変わらず慎太郎と一緒に登下校して、たまに教科書貸したりして、樹と花とも一緒にお昼食べて…私が望んだ、前と変わらない距離感。…ただ、勝手に私が意識してしまうだけで。
その中でも少しずつ、でも確実に慎太郎と花の距離は縮まっていた。
「こーんなとこにいたの?」
隣にスッと腰掛ける大きい人影。
「ジェシー」
ジ「出ないの?」
「私大繩だから。もーちょいここいるの」
本当についさっきまで応援席にいたはずなのに…瞬間移動みたい。なんて思いながら答えたら、「へー」なんて興味あるんだかないんだか、微妙な返事をする。
「ジェシーはこんなとこ来ていいの?」
ジ「いいのー。まぁ、すぐ行くけどね。俺走るし」
「ならさっさと準備行きなよ」
ジ「えー、せっかく見つけたのに」
「見つけたら来なきゃいけないルールでもあるの?」
ジ「んー…マイルール?みたいな?」
「迷惑なマイルールだな」
また歓声が上がる。1レース終わったのだろう。…話してて気づかなかったけど、その歓声を浴びるのは慎太郎で、そのままトラックから出て花と話して盛り上がる様子を眺める。
慎太郎、勝ったんだ。運動できるもんなー…
そんなこと考えながら眺めていればバチッと慎太郎と視線が絡んだような気がした。それは間違いではなく、その瞬間、ニッと笑ってピースをこちらに向けた。
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あまは(プロフ) - ありありさん» コメントありがとうございます!ドキドキしていただけてうれしいです!!話も更新ペースもゆっくりかとは思いますが、頑張ります! (2021年11月4日 2時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
ありあり(プロフ) - もうドキドキが止まらなく、すぐにお気に入り登録いたしました!作者様の文才すごい!更新楽しみにしてます!応援しております! (2021年11月3日 18時) (レス) id: 991e71cbdc (このIDを非表示/違反報告)
あまは(プロフ) - かなさん» そう言っていただけてすごくうれしいです!ありがとうございます!ゆっくりになるかとは思いますが、頑張ります!! (2021年10月23日 1時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 素敵な作品を見つけてしまった……!更新楽しみにしてます!頑張ってください^ ^ (2021年10月21日 23時) (レス) id: a4d97af994 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天羽 | 作成日時:2021年10月8日 3時