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 慎太郎に好きな人がいるって知ったところで特に何かが変わるわけではなく、いつも通りに朝が来て、慎太郎と一緒に登校しながらくだらない話をする。クラスは別だから別れていつも通りに教室に入れば花がすでにいた。挨拶をすればパァッと笑顔を向けてくれる。



 「それでね、」



 目のまえで楽しそうにふふっと笑う花は本当にかわいい。窓から入る風で長い髪が揺れて、それを耳にかけながら楽しそうに話を続ける。その姿がすごく"女の子"って感じで慎太郎が「守りたくなる」って言っていたことを私も理解してしまう。



森「Aー。教科書貸して」



 一つ授業を終えた休み時間、慎太郎が教科書を借りに来た。もともと結構貸してたけど最近特に多いような…。



 「どのやつ?」
森「古典。あるでしょ?」
 「しょうがないから探してやる」
森「お礼にジュースおごる」
 「いつものやつね」



 ロッカーで教科書を探しながら慎太郎の様子をチラッと見れば、昨日のように目の奥を輝かせながら花と話していた。内容まではわからないものの慎太郎の声がでかいから話しているということだけはわかる。その声が私の知らないくらい弾んだものということもわかる。



 「慎太郎、古典なかった」
森「え!?A、いつも全部おいてるじゃん!」
 「でもないの。昨日持って帰ったかもしれない。花は持ってない?」
 「たぶん古典ならあると思うけど…見てくるね」



 小走りでロッカーに向かう姿を見送る。だらっと動いてた私とは大違い。



森「本当にないの?」
 「どっちだと思う?というか、慎太郎こそ本当に忘れたの?」
森「…。はぁ〜…ありがと」
 「なんのため息?」
森「いい幼馴染を持ったな、としみじみ感じたとこ」



 そう言いながら肩を組んでくる。



 「最近忘れ物多かったの、借りにきて花と話すための口実だったわけだ」
森「…気付いちゃった?」
 「まぁね。何年一緒に居ると思ってんの」



 そう。何年一緒に居ると思ってんだ。分かっちゃうんだから。慎太郎の考えることくらい。…好きな人できたことには気づけなかったけど。

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あまは(プロフ) - ありありさん» コメントありがとうございます!ドキドキしていただけてうれしいです!!話も更新ペースもゆっくりかとは思いますが、頑張ります! (2021年11月4日 2時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
ありあり(プロフ) - もうドキドキが止まらなく、すぐにお気に入り登録いたしました!作者様の文才すごい!更新楽しみにしてます!応援しております! (2021年11月3日 18時) (レス) id: 991e71cbdc (このIDを非表示/違反報告)
あまは(プロフ) - かなさん» そう言っていただけてすごくうれしいです!ありがとうございます!ゆっくりになるかとは思いますが、頑張ります!! (2021年10月23日 1時) (レス) id: aa4a13b0c9 (このIDを非表示/違反報告)
かな - 素敵な作品を見つけてしまった……!更新楽しみにしてます!頑張ってください^ ^ (2021年10月21日 23時) (レス) id: a4d97af994 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天羽 | 作成日時:2021年10月8日 3時

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